いじめ・不登校対策に迅速に対応するため、足利市は本年度、教育長直轄の組織として、市教委学校教育課内に「いじめ不登校対策担当」を新設した。いじめ・不登校対策に特化した担当部署を置くのは県内自治体では他に小山市などがあるが、まだ少ない。まずは市内の実態をつぶさに把握し、子どもたちが安心して学校に通える環境づくりを進めてほしい。

 文部科学省の問題行動・不登校調査によると、2024年度に県内公立の小中高校、特別支援学校で認知したいじめ件数は6865件、公立小中学校の不登校児童生徒は5983人と、いずれも過去最多となった。足利市でもいじめ・不登校の件数は「高止まりの状態」(同課)といい、対策は各自治体とも喫緊の課題となっている。

 市が組織を新設したのは、何よりも初期対応を重視したからだ。ささいなきっかけでも、対応が遅れることで深刻ないじめや、本人が長期間学校に通えなくなる事態につながりかねない。

 これまでも課内に担当者はいたが専任ではないため、スピード感を欠くこともあったという。本年度は対策担当として学校長経験者の60代と、現場経験豊富な40代の2人を配置。当面は各学校の現状を把握するとともに、必要に応じて支援を行う。現場の教師も多忙を極めており、こうした専従組織のサポートを受けられることは有益だ。

 また新たに顕在化した問題として、交流サイト(SNS)を通じた誹謗(ひぼう)中傷や、いじめ・暴力行為の動画の拡散がある。市内でも今年に入り、水に顔をつけた状態で押さえつけられた中学生の動画が拡散。生徒らへの聞き取りでいじめ事案は確認されなかったが、市教委幹部は「動画の行為は許容できない」と、事態を重く見て会見で謝罪した。

 拡散した動画などはデジタルタトゥーとしてネット上に残ることもある。軽い気持ちで投稿した内容が、取り返しのつかないことにもなりうる。普段からの指導はもとより、発生した場合の迅速な対応は不可欠だ。

 市の「いじめ・不登校対策担当」は今後、さまざまな事例対応などを重ね、実績や経験が積まれるだろう。思春期の大事な時期に苦しい思いをし学校生活を送れなくなるような事態は、1件でも少なくしなければならない。