2014年世界銀行レポートの再評価と検証/防災計画の将来における実効性は引き続き検証が必要
2026年5月8日
公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202604288277-O2-5yqu2q72】
セミナーで使用されたスライドより(C)石渡幹夫
公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(所在地:東京都港区、理事長:中山幹康、略称:日本GIF)は、2026年3月31日(火)午後2時から、Zoomを利用したオンライン形式にて、明治大学特任教授の石渡幹夫氏を講師に、「東日本大震災から15年、復興の「通知表」を世界の羅針盤へ―2014年世界銀行レポートの再評価と検証―」と題したセミナーを開催しました。
開催趣旨
2011年3月11日から、15年という月日が流れました。2014年、日本政府と世界銀行が編纂した「大規模災害から学ぶ:東日本大震災からの教訓」報告書は、痛切な日本の経験を国際社会の共有財産へと変える先駆的な試みでした。当時導き出された知見は、現在どのような状況にあるのでしょうか。
本セミナーでは、同プロジェクトを牽引された、明治大学特任教授の石渡幹夫氏を講師にお迎えし、2014年当時の提言がその後の国内外の災害現場でどのように結実し、あるいは新たな課題として再浮上したのかを再評価し、検討しました。15年という節目を、過去を振り返るだけでなく、日本が世界に対して果たすべき責任と役割を再定義する場として捉えました。
講演要旨
1.世界銀行日本共同プロジェクト「大規模災害から学ぶ:東日本大震災からの教訓」概要
・2014年、日本政府と世界銀行は東日本大震災の経験を国際社会の公共財とするため、共同プロジェクトを立ち上げ。これは、阪神・淡路大震災後の英語での情報発信不足の反省による
・報告書では、大学、研究所、政府機関、NGO等による多数の調査結果を集約。英語版は現在までに2万件以上ダウンロードされ、世界での防災強化の基盤となっている
・オンラインと対面を併用した知識共有や、ウェブサイト上のコミュニティでの意見交換等も活発
2.当時の評価:教訓と成果
・Lesson 1:事前投資の有効性と限界
建築基準の改良や新幹線の早期検知システムは効果が認められた。巨大津波については、ハードウェアの限界を認め、避難の時間を稼ぐインフラが重要
・Lesson 2:過去の災害から学ぶ日本の「防災文化」の重要性
建築基準、耐震補強、防災教育、避難訓練、消防団等が多くの命を救う原動力に
・Lesson 3:防災は「みなの仕事」
津波のように「逃げれば助かる」災害では、地域社会が避難を支える体制が被害軽減に直結
3.課題とその対応
・Issue 1:リスク評価とコミュニケーション
ハザードマップの情報や防潮堤の存在が「誤った安心感」を与え、避難を遅らせた側面を指摘。現在は、想定最大規模を反映したマップへの移行や、個々人が避難などの対応を考える「マイタイムライン」の普及などにより改善。技術の限界に対する理解にはなお改善の余地がある
・Issue 2:組織間の調整
震災直後の自治体自体の被災や、NGO・外部支援者との調整不足を指摘。現在は、行政とボランティア団体等をつなぐ「災害中間支援組織」の整備や民間との応援協定も進むが、実効性の確保が必要
・Issue 3:災害弱者
女性の参画や避難所の環境改善を指摘。各種女性比率の目標値には届いていない。最近の能登半島地震でも避難所の環境改善が遅く、依然として課題
4.復興についての教訓
・報告書は高齢化や人口減少の深刻化、移転や住民参加における課題、住宅再建支援策の実施、専門家や民間の活用、公営住宅の維持管理計画の作成を提言
・復興庁の「復興政策の振り返り」では、人口減少等を見据えた集落の集約化の難しさや、復興事業が将来的に自治体財政を圧迫する懸念にも言及
・大規模復興事業完成までの期間における生活再建や合意形成の困難さ、実務負担も大きな課題
5.フクシマからの復興、まとめ
・福島における原子力災害は、社会の分断や長引く避難によるコミュニティ間での軋轢など、深刻な問題を提示
・情報伝達の迅速化や手段の多重化、避難基準の明確化などの伝達システムは整備されたが、次に大きな事故があった際、これらの計画が本当に機能するかは実効性の検証が必要
・2014年の報告書の提言は着実に制度化されてきたが、依然として多くの課題
講演後の質疑応答では、震災後の新しい技術の恩恵、復興税の問題、災害後人口が増加した地域やハザードマップの信頼性についてなど、多岐にわたる議論が行われました。
セミナー終了後のアンケートによると、「世界銀行日本共同プロジェクト『大規模災害から学ぶ:東日本大震災からの教訓』概要」、「課題とその対応」パートへの関心が特に高く、東日本大震災からの復興に対する関心の高さがうかがえました。
セミナー概要
主 催: 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(日本GIF)
日 時: 2026年3月31日(火)14:00~15:30
名 称: オンラインセミナー「東日本大震災から15年、復興の「通知表」を世界の羅針盤へ
―2014年世界銀行レポートの再評価と検証―」
開催形式: Zoomを利用したオンライン形式(ウェビナー)
講 演 者: 石渡幹夫(明治大学特任教授)
司 会 者: 坂本晶子(日本GIF事務局長)
参 加 費: 無料
動 画: https://gif.or.jp/seminar_youtube/geje15-2/
講師略歴
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202604288277-O9-7fYPI8bW】
防災や水資源、環境、平和構築分野のODAプロジェクト、研究、教育に従事している。これまで、世界銀行では上席防災専門官として、「大規模災害からの復興:東日本大震災からの教訓」に従事し、「Learning from Megadisaster: Lessons from Great East Japan Earthquake」(共編著:World Bank)を出版している。国土交通省では17年にわたり、浜田河川国道事務所長、河川計画課企画専門官など、治水プロジェクトやインフラ整備、技術開発に携わる。アジア開発銀行都市開発専門官、クランフィールド大学防災研究所人事院派遣研究員を歴任。日本学術会議・東日本大震災復興支援委員会災害に対するレジリエンスの構築分科会特任連携会員を務めた。現在、明治大学特任教授、日本水フォーラム理事、CWSアドバイザー。防災、気候変動適応、水資源に関わる学術論文、著作多数。博士(国際協力学)。
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セミナーで使用されたスライドより(C)石渡幹夫
日本GIFオンラインセミナー 「東日本大震災から15年、復興の「通知表」を世界の羅針盤へ」
公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団
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