売野さん(右)と、憧れだった映画・音楽評論家の今野雄二さん。作詞家としてのペンネーム「麻生麗二」は、今野さんの名前の1文字を取った

 その部屋の空気は明るく華やいでいて、新しいことが毎日始まりそうな気配に満ちていました。1980年の夏の終わり、僕は東京・青山にあったレコード会社「EPICソニー」の会議室にいました。

 歌手デビューを控えた河合夕子(かわいゆうこ)さん向けに、初めて作詞した作品。制作チームの反応は、僕の不安とはまるで逆のものでした。「すごくおもしろくて、みんな喜んでいますよ」。作詞の仕事を提案してくれたディレクターの目黒育郎(めぐろいくろう)さんがそう褒めてくれました。