那須塩原市は本年度、不登校の子どもの実情に合わせて柔軟に教育課程(カリキュラム)を編成できる「学びの多様化学校」を開設した。不登校の子の支援策として文部科学省が全国に設置を進めているが、県内では初めて。子どもたち一人一人の学びたい思いに寄り添い、誰一人取り残さない学校教育を実践してほしい。
市内の中学生を対象に、三島中の分教室として開設。市は「自分の好きなこと、学びたいことが七色の光のように明確」にできる場などになるとの思いを込め「プリズム」と名付けた。本年度は3学年で合計21人が通う。
教職員は教員7人を含む15人体制と手厚い。1クラス最大10人程度の授業が基本だが、集団での授業が苦手な子はリラックスルームなど別の場所で個別に指導する。誰も取り残さない姿勢の表れといえる。
年間授業時間も国の標準が1015時間のところ、学年によって175~190時間少なく設定するなど、柔軟でゆとりある学びの環境も特色だ。学び直しが必要な子は独自の教科「マイスタディ」でフォローし、総合的な学習では川釣りなど地域性を生かした体験学習を充実させる。また教室を「学ビバ」と呼び制服着用を求めないなど「学校らしさ」を極力なくした。
開設前の体験会などを丁寧に準備したこともあり、今のところ生徒の8~9割が通学できているという。プリズムがおおむね生徒に受け入れられている結果といえる。とはいえ、個々の生徒の心理状況などは急に変化することも想定される。教職員をはじめプリズムに関わる全ての大人が、予断を持たない柔軟な指導対応を心がけてほしい。
市で不登校の中学生は2024年度に約200人。プリズムだけで全ての生徒に対応するのは不可能だが、せめて市内全ての教職員、生徒たちに開設の目的、意図などを浸透させてもらいたい。大人が手を差し伸べ続ける姿勢と思いは、プリズムに通えない子どもたちの心にも届くに違いない。
さらに本県全体で見ると、同年度に約3800人。県内には既に民間のフリースクールなどもあるが、「学びの多様化」への理解をより広げるためにも、市の実践が他の市町にも波及することを期待したい。
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