クラシック音楽には詳しくないが、日頃の仕事の疲れを優雅な音楽で癒やしたいと思い立ち、老舗の名曲喫茶がある東京・荻窪を訪れた。
JR荻窪駅南口から徒歩約3分の古びたビルの2階に「名曲喫茶ミニヨン」がある。狭い階段を上がって扉を開けると、2基の大きなスピーカーが鎮座。カウンター奥の棚には膨大な数のレコードが保管されていた。
創業は1961年。店内ではブラームスのバイオリン協奏曲などが流れ、どこか温かみのあるレコードの音とおいしいコーヒーを味わい、ゆったりとした時間を過ごせた。
徒歩圏内にある角川庭園も訪れた。角川書店創業者の故角川源義の旧邸宅で、応接間兼書斎を改装した展示室などを無料で見ることができる。
展示室に飾られた源義の写真が目に入り、長男、角川春樹さんを15年前、取材した際の言葉をふと思い出した。「(源義は)じゃまな存在で反発した時期もあった」が、春樹さんは映画と出版とのメディアミックスで一世を風靡した。「その俺が(角川春樹事務所として)出版業に再び熱意をもって取り組んでいることを(亡くなった父も)喜んでくれるはずだ」
そんな親子の物語に思いをはせつつ、荻窪駅の隣の西荻窪駅周辺にも足を延ばした。小さな古書店「にわとり文庫」は昭和レトロな絵本や児童書の他、かわいいこけしまで商品として棚に並ぶ。
店長の田辺浩一さんに「元気が出る本はありますか」と聞くと、伊坂幸太郎さんの小説「陽気なギャングの日常と襲撃」を出してくれた。伊坂さんは田辺さんや筆者と同じ70年代生まれ。「僕ら世代のヒーローの作家なのでお薦めしました」
田辺さんには地元グルメも教えてもらい、シンガポール料理店「夢飯」で名物のチキンライスを注文。鶏のだしが利いたおいしいご飯で休日を締めくくり、翌日から「陽気なサラリーマンの日常」を過ごせる気がした。
【ちなミニ】ミニヨンが所有するレコード枚数は5千枚以上とされ、客がリクエストもできる。
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