妊婦や子育て世帯の移動を支える「子育てタクシー」が宇都宮市内で拡大している。2023年の始動当初1社だった運行事業者は25年に1社加わり、今年4月からは4社増の計6社体制となった。新規の利用登録者数は毎月100人ほど増えて3月末の総数は3400人を超えた。毎月の運行数は60~100回で推移しており、運行総数も2200回以上となっている。
従来の2社体制では空きがなく事前予約を断るケースもあった。運行事業者の増加によって、予約受け入れの拡大や円滑な配車など一層の利便性向上を期待したい。
子育てタクシーは一般社団法人「全国子育てタクシー協会」が商標登録したサービスで、(1)荷物の多い乳幼児連れの外出(2)保育園や習い事などへの子どものみの送迎(3)妊婦の陣痛時の利用-などに対応する。同協会の加盟事業者が運行し同協会養成講座修了の認定ドライバーが乗務。チャイルドシートの用意もある。利用には事前に利用者登録と乗車予約をする仕組みだ。
今回の事業者拡大の背景には、官民を挙げた子育て支援の取り組みの成果がある。
宇都宮市は同協会入会金と認定ドライバー養成講座の受講料、チャイルドシート購入費を補助する制度を創設して参入を後押し。民間では、市内で書道教室を営む上野恵美子(うえのえみこ)さんが開設した「宮っこタクシー案内所」が煩雑な利用者登録や乗車予約の業務を一手に引き受け、配車依頼も担当し、タクシー会社の大幅な負担軽減を実現している。
案内所は、利用者の細かな要望も丁寧に把握しドライバー側に伝え、安心・安全なサービス提供にも取り組む。こうした「橋渡し役」の存在は全国的にも珍しく、タクシー会社の新規参入をさらに増やし運行体制を充実させるべきだ。参入は企業価値の向上やドライバーのモチベーションアップにつながる。
利用者には迎車料金500円とメーター運賃、認定ドライバー指定料300円がかかり、チャイルドシート使用では500円追加。子どものみの送迎サービスには、初回登録料1万円の支出も生じる。
市は利用者増に向けPR強化を課題とするが、妊婦や子育て世帯の「安心な移動の足」として核家族や共働き家庭からのニーズを考えれば、子育てタクシー利用者への助成も検討してほしい。
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