東京大病院=東京都文京区

 脳死による臓器提供者(ドナー)からの心臓移植を巡り、余命1カ月以内と予測される患者へ最優先で臓器をあっせんする新たな選定基準が初めて適用され、東京大病院で40代女性が移植手術を受けたことが21日分かった。執刀した小野稔教授によると、術後の状態は安定しており、女性は「体が熱く、心臓の鼓動を強く感じる。ほっとしている」と話したという。

 新基準は緊急性が高い60歳未満の患者への移植を優先する仕組み。移植待機中の死亡の減少を目指し、厚生労働省が導入を決め、優先者を認定する関連学会が4月に運用を始めた。従来の基準では、補助人工心臓を装着中の患者らが優先されていた。

 小野教授によると、女性は数年前に心筋症の一種を患い、昨年秋ごろから急激に悪化。補助人工心臓が使えず、強心薬に頼る状態だった。不整脈で亡くなるリスクがあり、最優先枠として4月12日に手術を受けた。

 心臓移植の待機日数は平均6年弱とされ、移植の登録を諦める事例もある。小野教授は「新基準がなければ、女性は移植にたどり着けなかっただろう」と語った。