福祉事業所のサービスを客観的に評価し質の向上を図る「福祉サービス第三者評価」の県内の受審は、制度開始から20年余りたっても伸び悩んだままだ。本年度、受審を「お試し」できる新事業が始まる。この取り組みを含めて知恵を絞り、受審促進の糸口を見いだしてほしい。

 県内で2005年度から行われている制度は、介護や障害福祉、保育といった分野の福祉事業所が申し込み、基本方針や運営管理、サービスの適切さなどの評価を受ける。評価するのは、県社会福祉協議会内の「とちぎ福祉サービス第三者評価推進機構」が認証した県内七つのNPO法人、社団法人などだ。

 受審は任意だ。各分野の県内事業所は数千あるが、受審は25年度29件で、累計でも約350件にとどまる。件数は限定的と言わざるを得ない。

 進まぬ背景は負担の大きさにある。数多い項目の自己評価、職員・利用者アンケート、書面調査、訪問調査などを行い、完了まで3カ月から半年かかるという。

 推進機構は「業務を棚卸しし外部の目を入れることで、新たな強みと弱点を発見できる」と強調する。受審事業所からは「職員がサービスを振り返ったり、学びを深めたりして質向上につながった」との声も上がっている。メリットをイメージできなければ受審に二の足を踏む。利点を具体的に紹介しながら、制度の周知を図るべきだ。

 もう一つの負担は35万円前後の費用だ。東京都は費用の多くを賄える補助金を制度化して効果を上げているが、県内の支援は一部のみ。補助金が動機付けになることは確かなだけに、県や市町は支援の可能性を検討してほしい。制度的に報酬への加算も考えるべきではないか。

 推進機構は夏にも、受審を検討している事業所を対象に「プレ評価」事業を始める。負担にならないよう3項目に絞った自己評価を事前に行い、それについて事業所に出向いた評価者からヒアリングなどを約2時間受ける。受審へのハードルを下げる工夫を凝らし、効果をしっかり検証しなければならない。

 福祉サービスの質向上は、利用者のその人らしい「生」の実現につながる。第三者評価は公表され、利用者がサービスを選ぶときの判断材料にもなる。その意義を改めて肝に銘じ事業を進めたい。