昭和基地の沖約1700メートルの接岸点に着いた南極観測船「しらせ」=2025年12月(南極観測隊同行記者撮影)

 政府は、南極観測事業で隊員や物資を運ぶ南極観測船の運用を巡り、2034年を見込む砕氷艦「しらせ」の退役に伴い海上自衛隊を撤退させる調整に入った。中国による軍事行動の活発化など日本周辺の安全保障環境が変化し、任務量が増加。加えて自衛官は定員割れによる人員不足が続いており、体制の見直しを判断した。運用主体を国立研究開発法人「海洋研究開発機構」に変更し、海自は支援にとどめる。複数の関係者が10日、明らかにした。

 政府関係者は撤退の一因として、技術進化による氷海航行の危険性低下を挙げた。国立研究開発法人が観測船の運用を担うことで、運航頻度などに関し、自衛隊よりも柔軟な事業計画の策定が可能になるとも説明している。

 日本の南極観測事業は1955年の閣議決定に基づいて始まった。海自は海上保安庁に代わり、65年から観測船を運航し、現在は約180人の乗員によるしらせが日本と南極を往復している。

 海自は体制見直し後、派遣規模を約30人とする。当面は、砕氷航行の知見を持つ自衛官が運航をサポートする。