国民の休日「山の日」は今年、2016年の施行から10周年を迎える。塩谷町出身の作曲家船村徹(ふなむらとおる)さんが制定を後押しし、翌17年の第2回全国大会を那須町で開催するなど、本県はゆかりが深い。節目を機に、官民挙げて山の日を一層盛り上げ、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という祝日の意義を広く浸透させたい。
県「山の日」協議会のまとめによると、県内の関連イベントはここ数年、市町や民間団体などが主催して年に20件ほど開催されている。ただ、第2回大会の年度は約90件、翌18年度は70件超あっただけに、いささか寂しい。県や市町、各地の登山関連団体などが旗振り役となって、山の日に対する理解を深める取り組みが拡大することを期待したい。
長野県は国民の祝日施行前の14年、7月第4日曜日を「信州 山の日」に制定した。同県ではこの日の前後1カ月を山の月間として、イベントなどを展開している。本県も夏休みと重なる時期を、独自に山の日月間としてはどうか。県内の夏山登山や高原避暑地への行楽をアピールする機会にできるだろう。
一方で、山は恩恵をもたらすだけではないことも忘れてはならない。時には人の命を奪う。県内でも17年3月、那須町で大田原高山岳部の生徒、教諭計8人が死亡した雪崩事故や23年10月、同町の朝日岳で登山者4人が低体温症で死亡した遭難事故などが起きている。
くしくも雪崩事故と同年開催となった第2回全国大会は大会理念と目標に「山の事故と自然災害への対応」を盛り込んだ。一部の警察署などではこれまでも登山客への啓発活動を行っているが、山の日は自然の厳しさと山の危険を再認識する日にもすべきだ。
本紙客員論説委員を務めた船村さんは08年9月、紙上で「『山の日』をつくろう」と提唱した。高原山の麓で過ごした子ども時代の経験も踏まえ「やっぱり『山』はすごいのだ」と、山への熱い思いを訴えた。同様に、県北の標高2千メートル級の山から県南の里山まで、山に特別な感慨を抱く県民は少なくないだろう。
各都道府県が持ち回りで開催してきた全国大会は今年、新型コロナウイルス禍の中止を経て第10回が岐阜県高山市で開催される。本県からも大いに盛り上げたい。
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