太平洋戦争後、樺太(現サハリン)から北海道に移り住んだ北方少数民族「ウイルタ」の支援に尽力した元教師田中了さんの生涯をつづった書籍が1月、出版された。日本の戦争に巻き込まれ、苦難の歴史を歩んだ民族の埋もれた史実を、戦後補償や人権保護の活動をたどりながら丁寧に描き出す。
書籍は「父・田中了が遺したもの―戦争を越えて生き抜いたある教師の記録―」(共同文化社)。田中さんの長女で札幌市在住の石戸谷史さん(66)が執筆した。生まれ育った大阪で空襲を経験し、北海道網走市で高校教師として働きながら支援に駆け回った父の姿を、残された日誌や資料を基にたどった。
田中さんの活動の転機となったのは、戦時中に樺太で召集され日本の戦犯として抑留されたウイルタ民族の故ダーヒンニェニ・ゲンダーヌ(日本名北川源太郎)さんとの出会いだ。移り住んだ網走での苦しい生活を見て奮い立ち、軍人恩給を国に求めるなど支援に力を注いだ。「権力におもねることなく、ウイルタの声を代弁し続けた」と石戸谷さんは振り返る。
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