県警が2025年に認知した特殊詐欺と交流サイト(SNS)型投資・ロマンス詐欺の被害総額が過去最悪を更新した。前年比約4億1500万円増の計19億9360万円に上り、そのうち特殊詐欺は最近10年で最悪の約9億7千万円を記録した。
注目すべきは、被害額は県警が認知したものに限るという点だ。全ての被害が届け出されているとは言い難く、県警は「氷山の一角かも知れない」としている。海外に拠点を置く犯罪集団も多い。摘発のハードルが高くなる中、被害に遭わないよう未然防止にあらゆる手だてを講じたい。
特徴的なのは、急増する捜査名目で金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」をはじめとした組織的な犯罪形態だ。警察官役など複数がさまざまな役になりすまし、ビデオ通話で使う制服や手帳をはじめ、警察署内を装う室内セットなど大がかりな仕掛けがなされているケースが少なくない。
こうして生じる高額な被害金は犯罪集団に吸い上げられ、さらに大がかりな詐欺のための設備投資に回る実態がある。被害者の財産が、知らず知らずのうちに加害者側に利用されている構図である。
詐欺電話の場合、一般に相手は電話を切られないよう言葉巧みに引き延ばしを図り、冷静な判断を奪うため一人になるよう仕向けるケースが多い。対策としては「いったん電話を切る」ことが有効で、県警はその上で「すぐに地元の警察に連絡してほしい」と呼びかける。
警察庁は1月、民間企業が開発したスマートフォン用の詐欺対策アプリの推奨を始めた。国際電話や過去に犯罪に使われた番号からの電話を遮断するなどの機能があり、無料で利用できる。こうした自衛は必須だろう。
県警も、被害が小さい段階で抑え込もうと県内に本店を構える全ての金融機関と協定を結び対策を講じている。特殊詐欺の犯行に使用された口座の情報を県警が金融機関に知らせ、金融機関は口座への振り込み履歴のある名義人の情報を県警に提供する。不審な口座の金の流れをつかみ、被害者を探す取り組みだ。
おれおれ詐欺の被害者はかつて高齢者が中心だったが、世代を問わず被害に遭っている。ましてやその被害が犯罪集団の力になってはいけない。身の回りで詐欺を話題にするなど危機意識を高めたい。
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