若手技能者が技術を競う「技能五輪全国大会」で、本県の存在感が低下している。近年は出場者数や入賞者数が減少傾向にある。「ものづくり県」を自認する本県にとって、ゆゆしき事態である。
県は新年度から、同大会に出場する選手の強化に乗り出す。宇都宮市の県央産業技術専門校に「技能五輪支援コース」を新設し、国内トップクラスの技能者らによる特別訓練を実施する。
だが大会前の一時的な訓練だけでは、全体の底上げはおぼつかないだろう。選手を送り出す企業にとって、励みとなる動機付けが求められる。県と産業界が連携し、大会で好成績を収めた成功体験を県内企業が共有できる仕組みが必要だ。
大会は原則23歳以下の若手技能者が対象。本県で開催された2017年は137人が出場して金賞4人を含む32人が入賞した。しかし翌18年は出場者が半数以下となり、24年には30人台に減った。25年は39人が出場して10人が入賞したが、金賞はゼロだった。
上位10都道府県に贈られる団体賞は、17年から6年連続受賞していたが、22年が最後となっている。
大会に出場するには、機材費や練習時間を要する。企業側が選手を出し渋っているとすれば「入賞すればブランディングや生産性の向上につながる」といった、成功体験が共有されていないことが考えられる。入賞者を輩出した企業には、公共工事の入札で一定の優遇制度も考えてはどうか。
成績が振るわない理由には、他県のトップレベルの選手が受けている最新の技術指導や、本番同様の環境に本県の選手がアクセスできていない可能性が示唆される。県が新設する技能五輪支援コースでは、産業界の協力も得て最新設備で練習できる環境を整えてほしい。
団体賞の上位常連である愛知県では、技能五輪が「次世代のリーダー育成の場」として定義されているという。入賞すれば社内での高評価につながるため、選手のモチベーションは高い。本県でも入賞をただの名誉とせずに、選手や企業にとってどう実利に結び付くかを明確にすべきだ。
自社に指導者がいなくとも、意欲のある中小企業には学びの場を提供したい。技能五輪支援コースが果たす役割は大きい。
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