国史跡の大森貝塚(東京都品川区、大田区)は、明治期に米国の動物学者モースが発見し日本初の学術的な発掘調査を行った遺跡だ。縄文期に光を当てた日本の考古学発祥の地などを歩いた。
JR大森駅から徒歩約5分の大森貝塚遺跡庭園へ。付近に縄文期、海岸線があったとされ、打ち寄せる波をイメージしたオブジェがある。モースが発掘したとされる南東側の線路沿いには大森貝塚の石碑が立つ。
庭園から北に5分ほどの品川歴史館を訪ねた。1984年の調査で大森貝塚から出土した貝層の標本を、縄文後期の集落を表した模型と共に展示する。標本にウミガメやフグの骨が含まれていたことから、人々が食していたとされ、興味深い。
駅方向に戻り大田区馬込、山王、中央の一帯を目指す。大正末期から昭和初期、作家の宇野千代、尾崎士郎ら多くの文化人が暮らし創作を行っていた地で「馬込文士村」と呼ばれるようになった。
近代日本画の巨匠、川端龍子もこの地で活躍した一人だ。作品を収蔵する龍子記念館を訪ねた。文化勲章受章を機に龍子自らが設計した建物は、上空からは竜の形に見えるそうだ。
館の向かいには龍子公園が整備され、開館時に1日3回、案内付きで画室や晩年の邸宅を見学できる。38年建築の画室は天井の高さ約4メートル、広さ約60畳で、龍子作品の多くがここで誕生した。45年8月の空襲被害からはかろうじて免れたという。代表作「爆弾散華」は「庭で栽培していた野菜が、爆風で飛び散る光景を描いた物です」と副館長木村拓也さんが解説した。
駅へ戻る途中、JRの線路沿いで「ボタン専門店 みかね」に立ち寄った。戦後の創業で、舶来品のビンテージボタンを1万種類以上扱う。2代目店主三林歌子さんは「ボタンアクセサリーや既製服のリメークが人気で、ボタンが最近注目されていますね」と話した。
【ちなミニ】品川歴史館「モースコーナー」では、タッチパネルで分かりやすく偉業を紹介する。
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