災害への備えとして、あらかじめ地域再建の方策を考えておく「事前復興まちづくり計画」の策定が全国的に低迷している。国土交通省が今年1月末時点の状況をまとめた調査では、策定済みの自治体は高知、徳島、和歌山の3県と12都道府県の28市区町村、非公表の1自治体の計32で、全自治体の2%に過ぎない。
策定の義務はなく、国は推奨している。同省の調査などによると、本県は6市町が「策定することを検討中」、県と19市町は「検討していない」と答えた。内陸型の大地震などが今後発生する可能性は決してゼロではない。発災直後の応急対策にとどまらず、まちの将来を見据えた計画づくりを推進すべきだ。
事前復興まちづくり計画は、大規模災害を見越して、被災後のまちづくりの方向性を共有しておく取り組み。地震や津波などの想定被害分布や規模を基に、主に市街地での復興の目標を定める。計画には必要な事業規模や将来の人口などを盛り込むほか、現地再建や高台移転といった複数のパターンの中から地域に適した手法を整理しておく。
国は2018年に「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」を公表するなどしてきた。ガイドラインでは復興体制や復興手順の事前検討など五つの取り組みを明示し、計画作りに向けた自治体側の意識向上を図ってきた。
しかし本県では、県と17市町がいずれかの取り組みを「検討済み」または「検討段階」としたのに対し、8市町は「検討していない」と回答した。人材や専門知識の不足などが要因とみられるが、未検討の市町は国や県のサポートを得ながら事前準備を加速させるべきだろう。
事前復興まちづくり計画の策定を終えた全国の32自治体は、南海トラフなど巨大地震の対策地域が大半である。このうち22年に計画(指針)を策定した高知県南海トラフ地震対策課の担当者は「巨大地震など大きな災害が起きてからでは準備が行き届かず、その後の復興も遅れるに違いない。事前の備えは極めて重要だ」と指摘する。
本県ではまず県が指針を打ち出し、国のガイドラインなどに即した市町の計画作りを後押しすべきだろう。県も地域防災計画に位置付ける都市復興計画に「大災害発生前」の視点を落とし込むべきだ。
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