休館中だった那珂川町馬頭広重美術館が2月28日、リニューアルオープンした。腐食が目立つ八溝杉材の屋根ルーバーを木目調のアルミ材に切り替えるなど町が昨年6月から初の大規模改修工事を実施し、完了した。改修に見合う価値を再創出し、まちづくりに生かしてほしい。
美術館は江戸時代の浮世絵師歌川広重(うたがわひろしげ)の肉筆画などの寄贈を受け、2000年11月に開館した。県内唯一の町立美術館で昨年、開館25周年を迎えた。建物は世界的な建築家として知られる隈研吾(くまけんご)さんが設計した。全体を覆う八溝杉材のルーバーは、広重が描いた雨の特徴的な線の表現を建物に置き換えたという。隈さんの出世作とされ、建築物としての価値も高い。
建物の象徴であるルーバーの傷みが著しく、町は大規模改修を決めた。特に風雨や紫外線にさらされる屋根部分の腐食が顕著だった。耐久性の高いアルミ材に変更したが、木目調にして見た目はほぼ変わらない状態となった。開館当時に近い姿を取り戻した今、あらためて建物の魅力も一層アピールすべきだ。
改修工事費用は約2億5千万円。外壁のルーバーは引き続き八溝杉材を活用して取り換えたほか、雨どいを新設した。屋根から流れ落ちる雨水をコントロールし、外壁の腐食を防ぐ狙いがある。休館し集中的に工事を行うなどして費用を抑えたという。
屋根にも新しい木材を使用する案があったが、町は定期的なメンテナンスを見据えアルミ材を最終的に採用した。材料費は木材より高額だが、長期的なコストはアルミ材の方が抑制できると判断した。大規模改修に当たり、町は長寿命化計画も策定した。貴重な財産を確実に後世へつないでほしい。
美術館には県内外から年間2万人以上が来館する。建物を目当てに訪れる人もおり、観光資源としても重要な拠点だ。町は26年度から4万5千人を目標に掲げる。高いハードルを乗り越えるには美術館だけでなく、地域全体での取り組みが欠かせないだろう。
町には民間も含め三つの美術館があるほか、馬頭温泉郷や小砂(こいさご)焼などもある。点を線に、そして面とする観光施策が重要だ。広重美術館のリニューアルを好機として捉えPR強化を進めるとともに、新たな地域活性の取り組みにも期待したい。
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