県は新年度、生産性や収益性が高い大規模農家を中心に、地域全体でコメなどの水田農業の収益力を高めるモデルケースの確立を目指す。
地域の核となる100ヘクタール超の大規模農家を育成し、周辺の中小規模農家と連携しながら地域の維持発展につなげる考えだ。作業の効率化やスマート化の課題を克服しながら大規模化を進め、他地域に横展開できるモデルを確立してほしい。
地域全体の収益力を高めるには、大規模農家の育成に加え中小規模農家の協力が不可欠だ。中小農家にも賛同が得られるよう、機運醸成を図ることも求められる。
農林業センサスによると、自営農業を主な仕事とする「基幹的農業従業者数」は2025年、県内で約3万4千人だった。20年と比べ約22%減少しており、農家の減少に歯止めはかかっていない。
これまでも集落営農や規模拡大を推進し、持続可能な農業を目指してきた。だが、農家は加速度的に減少している。農業の持続可能性を高め地域を維持するには、もう一段踏み込んだ支援が必要だ。
モデルケースの確立に関しては、県内の複数地域で取り組む予定。大規模農家を育成し単体の収益向上を図るのではなく、中小農家との連携を重視し、地域全体で収益力を高めることを目指す。
大規模農家については、現時点で数十ヘクタール規模の農家を100ヘクタール超に育成することを想定している。限られた労働力の中で大規模化を進めるには、作業の効率化は避けて通れない。
人工知能(AI)を含めたスマート農業を積極的に取り入れるべきだろう。県は田んぼに直接種もみをまく「直播(ちょくは)栽培」の実証を行うなど省力化に向けた技術支援に取り組む。コメづくりで最も手間がかかる育苗の労力軽減につなげたい。
地域によって事情は異なり抱える課題も違ってくる。生産者や農業団体の関係者などと設ける予定の協議会で、大規模化の課題や改善策を検討する方針だ。地域事情に即した対応策を模索してほしい。
規模の異なる農家が協力し合うには、それぞれがメリットを感じられることが重要になる。地域や農地を発展させることの必要性などへの理解を求め、意識を醸成して地域全体で農地を守る仕組みの整備を期待したい。
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