東京高裁に入る遺族ら=4日午後0時40分、東京・霞が関

那須雪崩事故の発生後、繰り返し重傷者を搬送する救助隊員=2017年3月27日午後5時35分、那須町湯本

東京高裁に入る遺族ら=4日午後0時40分、東京・霞が関 那須雪崩事故の発生後、繰り返し重傷者を搬送する救助隊員=2017年3月27日午後5時35分、那須町湯本

 栃木県那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高山岳部の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた男性教諭ら3人の控訴審判決公判が4日、東京高裁で開かれた。田村政喜(たむらまさき)裁判長は、いずれも禁錮2年の実刑とした一審宇都宮地裁判決を破棄し、有罪を維持した上で、講習会の責任者と2班の引率者については禁錮2年、執行猶予5年を言い渡した。死亡した8人がいた1班の引率者は一審同様に禁錮2年の実刑判決とした。

 執行猶予となったのは、当時の県高校体育連盟の登山専門部委員長で講習会の責任者だった猪瀬修一(いのせしゅういち)(59)、2班を引率していた渡辺浩典(わたなべひろのり)(63)の両被告。実刑となったのは、登山専門部の副委員長で1班の引率者だった菅又久雄(すがまたひさお)被告(57)。弁護側は控訴審で事実誤認や量刑不当などを訴え、一審同様に無罪を主張していた。

 田村裁判長は判決理由で、3被告の雪崩事故発生の予見可能性や過失を改めて認定し、有罪を維持した。一方で「刑事責任の軽重に格段の違いはない」とした一審の量刑判断に対しては、3被告の立場や役割などの差を踏まえておらず「過失の軽重の評価を誤った」と指摘した。

 訓練開始までの時点で、班別行動の参加者が雪崩の発生区域などに立ち入る予見可能性について「高いものであったとは言いがたい」と説明。その上で猪瀬被告は「直接移動場所を指示すべき立場にない」、渡辺被告は「講習会全体の主講師である以上の役職にない」などとして「(菅又被告の責任と)同等に重いとは言えない」と判示した。

 菅又被告に関しては、登山経験が特に豊富で講習会の主任講師である上、1班の行動を直接指示する主講師だったと言及。危険を高める登山の続行を許可した結果、多大な死傷者が出たとして「責任が最も重い」と強調した。

 判決によると、17年3月27日朝、3被告は前夜からの積雪を踏まえ、講習内容を深雪歩行訓練に変更。新雪が積もった急斜面で雪崩の発生を予想できたのに安全区域の設定や的確な周知をせず、雪崩に巻き込まれた8人を死亡させ、5人にけがを負わせるなどした。

 中村千浩(なかむらちひろ)県教育長のコメント 判決を非常に重く受け止めている。二度と痛ましい事故を起こしてはならないという決意の下、改めて県教委一丸で再発防止に取り組み続け、学校教育活動全般の安全管理と危機管理の充実、強化を図る。