都市部に住みながら地方都市と継続的なつながりを持ち続ける「関係人口」の創出を図ろうと、益子町は本県で初めて、三大都市圏などの20代に益子の仕事と暮らしを3カ月単位で体験してもらう新事業「大人の地域留学」をスタートさせた。関係人口拡大に向けては、中長期的な視点に立った官民一体の計画が必要になる。明確な成果目標を立て、粘り強く取り組みたい。
事業は昨年10月に始まり、1期生に応募した千葉県の白川聡一郎(しらかわそういちろう)さんが無償提供された一軒家に住み、月9万9千円の生活支援金を受けながらメロンやイチゴ栽培に従事した。現在は第2期生3人が観光業や窯業などを通じて、益子の魅力を肌で感じている。
事業を開始するにあたり町が参考にしたのが、島根県隠岐諸島に位置する海士(あま)町の取り組みである。
同町は15年ほど前、町の高校に島外から入学者を受け入れる「島留学」を導入。その後、就労型のお試し移住制度「大人の島留学」を始め、現在は人口約2200人の1割を移住者が占めるという。人口減少に苦しむ自治体が聞けばうらやむ成果だ。益子町はそのノウハウを学ぶべく昨年、道の駅ましこに海士町の関係者を招待。お試し移住している両町の若者らが海産物などを販売した。交流の広がりに期待したい。
1期生の白川さんは昨年12月に留学を終えた際、「長くもなく短くもなく、いい期間で田舎暮らしを体験できて本当にいい制度」と感想を述べた。そのお手軽さが1~3年間移住して働く地域おこし協力隊との違いであり、利点でもある。
広田茂十郎(ひろたもじゅうろう)町長は新年度から事業を拡充させる方針だ。益子に漠然とした興味を抱く若者を一人でも多く受け入れていくことが、成功への近道となろう。そのためには官民が目線を統一し、体験職域の拡大や宿泊施設の整備など、しっかりとした受け入れ態勢を築く必要がある。
留学生の「その後」へのアプローチも重要なテーマだろう。「関係人口は滞在中よりも帰った後に増える」とされる。友人、知人への「口コミ」が重要という訳だ。益子が県外の若者から注目され続ける地域になるために、「留学卒業生」のケアにも注力すべきだ。将来的に彼らの移住を視野に入れているのであれば、なおさらである。
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