建設業界の人手不足解消と生産性の向上には、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が決め手とされる。しかし県内には情報通信技術(ICT)を使って施工できる業者は、一握りしかいないという。

 県は業界のDX推進を支援しようと、新年度予算に4億7500万円を計上した。災害が頻発する現代において、建設業者は地域の守り手でもある。人手不足の解消のためにも、県の支援メニューを積極的に利用してほしい。

 自動運転ダンプカーが遠隔操作のバックホーなどと連携して動き回る-。鹿沼市の南摩ダム本体工事現場では、建設大手の大成建設が無人建機群による自動化施工を既に実現していた。スーパーゼネコンならではの技術と言える。

 県が目指すのは、もっと身近なDXの「最初の一歩」である。

 例えば手持ちの建機をICT化する後付け機器やICT測量機器、ソフトウエアなどの導入費用の2分の1を補助する。上限は他県を上回る1社500万円。国の補助制度と併用するのも認め、初期費用のハードルを下げた。どんな機器が最適か、相談窓口も設置して伴走支援する。

 建設現場の省力化や効率化を推進しようと、国は発注土木工事のICT活用を原則としている。だが昨年度の県発注工事で、ICTを活用した業者は入札資格を持つ15%にとどまる。小規模業者ほど活用していない傾向にある。

 若者の新規就労が少なく高齢化が進む建設業界では、ICTに心理的な抵抗があるのだろう。県は県内各地で体験会も開いている。まずは参加して、何から手を付けたらよいか確認してはどうか。

 すぐに効果が出るのは、書類や写真、日報などの情報共有を容易にするクラウド化とされる。コストも比較的安く、操作もそれほど難しくない。まずはコストと知識、人材のハードルを下げるのが肝要である。県はこうした支援にも力を入れてほしい。

 最終的な目標は健全な建設業者を守り、社会の活力を維持することである。ドローンを使って1人で測量したり、3次元設計データを作成したりするDX化は、その手段に過ぎない。

 ただ、DX化は遅れるほど企業間の格差が広がる。脱落する企業を少なくするのも県の役割であろう。