栃木市の西方城跡や那須烏山市の烏山城跡など、近年は国史跡指定を契機に城跡の利活用を進める動きが活発化している。城は郷土史の学びの場であり、全国的に見ても観光誘客の拠点ともなりうる存在だけに、県には包括的なPRを担ってほしい。

 2017年に佐野市の唐沢山城跡で全国山城サミットが開催されると、県内各地域で地元の城跡が注目され利活用が進んだ。23年の烏山城跡の国史跡指定後は、那須烏山市が保存活用計画を策定。イベント開催に加え、デジタルコンテンツの作成で魅力の発信に努めている。24年に国史跡となった西方城跡でも、市教委によるPR活動のほか、地元ボランティア団体の積極的な保護活動が知られている。

 テレビ番組の特集が増え、本紙に連載された「ニッポンお城図鑑」にも反響が寄せられるなど、城は全国的に見ても魅力あるコンテンツになっている。広島県の福山城や愛媛県の大洲城では、天守や櫓(やぐら)で宿泊、食事などが楽しめる「城泊」が人気だ。また長野県の上田城や岡山県の津山城などでは、仮想現実(VR)を活用したバーチャルツアーを企画し観光誘客に生かしている。

 本県でも1月下旬、公益財団法人「日本城郭協会」(東京)主催の会員交流会に関東一円から約20人が参加した。協会の沼尻良雄(ぬまじりよしお)事務局長(72)は「遺構の素晴らしさだけでなく、一時、織田信雄(おだのぶかつ)が城主だった烏山城跡など歴史的逸話も面白い」などと本県の城跡を評価する。

 しかし、旧下野国は見栄えのする総石垣造りではなく、土塁中心の「地味」な城跡がほとんどで、PRも地域差が大きい。このため社寺や有力者の住宅、西洋建築など建造物がある文化財と比べ、県民の関心は限定的だ。

 そこで、県が手がけるサイト「とちぎの文化財」を生かし、城跡に特化した情報サイトを作成できないだろうか。国史跡の城跡だけでも6カ所に増えた。デジタル技術を活用し、当時の想像図や構造の特徴、歴史、地域の利活用策をまとめれば教材にもなり、周辺の歴史スポットも加えれば観光誘客の一助にもなる。

 華やかな建造物がなくても、城跡はさまざまな可能性を秘めた地域資源だ。各地域が進めた取り組みを県がサポートし、教育、観光分野に昇華させられるよう期待したい。