最高裁判決を受けた政府補償方針

 政府は、2013~15年の生活保護費の引き下げを違法とした最高裁判決を巡り、補償は当時の減額分の一部とする方針を固めた。関係者が20日、明らかにした。当時の経済状況を基に、違法とされなかった手法などで全受給者分を改めて引き下げた上で、13年からの減額分との差額を支払う。原告には、長期間の訴訟負担などに配慮して別に上乗せ給付を行う。近く正式に決定する見通し。

 当時の受給者は約200万人で推移し、提訴した原告は千人超。原告側は減額分の全額補償を求めているほか、訴訟に参加したかどうかで支払額に差が生じるため批判が出るのは必至だ。

 今年6月の最高裁判決は、物価下落率(4・78%)を指標とした「デフレ調整」は専門家の審議を経ておらず違法と判断、減額処分を取り消した。

 一方で受給者間の均衡を図る「ゆがみ調整」(約90億円削減)は違法と認定しなかったため、政府は再実施することが妥当と判断。さらに、当時の消費水準に合わせた2・49%の引き下げも適用する。当時の引き下げよりは小幅となるため、差額が一部補償となる。