クリスマスシーズンの風物詩としてさまざまなバレエ団が上演するチャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」。12月の東京バレエ団公演で主人公マーシャを演じるプリンシパルの秋山瑛は、「毎年披露する演目だからこそ、1年間で培ってきたことを反映させて良いものにしていきたい」と意欲を語る。
上演するのは団長の斎藤友佳理が2019年に新たに演出や振り付けを手がけたもの。クリスマスの夜に少女マーシャが体験する冒険を描く。日程ごとに違うダンサーが主役を踊るが、初演以来毎年マーシャを演じているのは秋山だけだ。特に今年は「ラ・シルフィード」の主役の妖精役などに挑戦して身につけた「新しい体の使い方や視線の向け方」を、第2幕の「金平糖の精の踊り」に生かしたいという。
22年にプリンシパルに昇進し、古典から現代の振付家の作品まで幅広い演目で主要な役を担ってきた秋山だが、「私は特に得意なことがあるわけではない」。だからこそ「このステップは何を表現したいのか」「ジャンプの高さはこれでいいのか」といった探求に人一倍こだわる。
「観客の皆さんが作品に没入し、追体験できるような踊りを心がけている。音楽がイメージを膨らませてくれます」
「くるみ割り人形」について「切なさもありつつ、幸せを感じられる作品」と秋山。「私は物語の展開を知っているけど、マーシャにとっては王子さまに会うのも夢の世界を旅するのも初めての経験のはず。常に新鮮な気持ちで、本当に感動しながら踊りたい」
(秋山瑛は12月12日の東京文化会館、12月26日の兵庫県立芸術文化センター(西宮市)での公演に出演)
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