開発したトウモロコシコムギを手にする鳥取大の石井孝佳准教授

 コムギとトウモロコシの遺伝子を併せ持つ「コムギ」の開発に世界で初めて成功したと、鳥取大などのチームが12日までに国際学術誌に発表した。開発した植物は「トウモロコシコムギ」と命名。見た目は“ほぼコムギ”だが厳しい環境にも強いトウモロコシの特性を取り入れている可能性があり、流通が実現すればコムギの供給量拡大に期待できるという。

 コムギとトウモロコシはイネも加えて三大穀物とされる。特にコムギは世界的な人口増で需要が高まる一方、気候変動で栽培地域が限定されるなどの影響がでている。コムギとトウモロコシの交雑も試みられていたが、技術面から難しかった。

 コムギをベースに、電気的に細胞を融合させる独自の顕微授精によって交雑。9種類の雑種コムギを作り出し、室内での栽培に成功した。見た目は通常のコムギと見分けが付かない。トウモロコシのミトコンドリアゲノムを持っていた。

 次世代にも高温や乾燥への耐性があるトウモロコシの特性が遺伝している可能性があり、コムギ栽培が難しい地域でも生産できるかもしれないという。