選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案などを審議した衆院法務委=6月

 通常国会で四半世紀ぶりに議論が進展した選択的夫婦別姓制度の導入が、当面は絶望的な情勢となっている。臨時国会で導入法案が審議再開の予定だったが、連立与党の自民党と日本維新の会は「旧姓の通称使用法制化」で合意。野党が提出している別姓法案の審議への影響は必至で、識者は「別姓実現の動きは止まった」とみる。

 制度を巡っては根深い対立の歴史がある。法制審議会(法相の諮問機関)は1996年、導入を盛り込んだ民法改正要綱を答申。政府内に法案提出を目指す動きがあったものの、保守系議員の抵抗もあり提出に至らず、膠着状態となった。

 昨秋の衆院選で自民、公明両党が少数与党になると機運が一転。通常国会では立憲民主、国民民主、維新の各党がそれぞれ独自の関連法案を提出し、28年ぶりに衆院法務委員会で審議入りした。

 立民案と国民案は子どもの姓の決め方が異なるものの、いずれも別姓を導入。一方、維新案は夫婦の同姓を維持した上で、旧姓を通称として使用できるようにする。結果として野党間の足並みは乱れ、自民内も意見集約に難航し、採決に至らず継続審議となった。