EY Japan(東京都千代田区、チェアパーソン 兼 CEO 貴田 守亮)は、企業会計基準委員会(ASBJ)が進める金融商品会計基準の改正に伴い導入が必要となる予想信用損失(ECL:Expected Credit Loss)モデルへの移行支援において、このたび、金融機関を中心に包括的なサービスの提供を開始します。
ASBJでは、国際会計基準(IFRS)第9号「金融商品」との整合を図り、貸付金等に対する貸倒引当金を、将来予測を踏まえて計測するECLモデルの導入を検討しており、2025年10月29日には「金融商品会計基準改正の公開草案」が公表されました。
現行基準の過去の貸倒実績を中心とする引当手法から、経済環境の変化を直接反映する仕組みに転換するもので、将来の予測情報を含む広範な情報を貸倒引当金の計測に反映することにより、将来見込まれる信用リスクをより早期に認識できるメリットがあります。これにより、金融機関を中心に、企業における財務健全性の強化にもつながることが期待されます。また、情報開示の国際的な比較可能性を高めることで、企業は投資家に対して、より透明性のある財務情報を提供することが期待されます。
一方、ECLモデルでは、特に不確実な経済環境下において貸倒引当金に将来予測情報を反映することにより、損益のボラティリティが増大する場合があり、企業にとっては決算実務や業績管理の難易度が高まると考えられます。また、信用リスクの著しい増大(SICR:Significant Increase in Credit Risk)が生じた場合、貸付金等の残存期間全体を対象に引当を行う必要があり、貸倒引当金の増加につながることも想定されます。加えて、モデルの運用にはデータ基盤やITインフラの整備、人材育成等が求められるため、金融機関を中心に計画的な対応が不可欠です。
EY Japanの新チームは、EY新日本有限責任監査法人(東京都千代田区、理事長 松村 洋季、以下 EY新日本)とEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 近藤 聡、以下 EYSC)が連携して組成されます。EY新日本の会計基準改正やリスク管理への深い理解と、EYSCの業務改革やシステム導入支援における豊富な実績を融合し、金融機関を中心に幅広い業種における改正基準への対応を、以下のとおり計画から実行まで統合的に支援します。
①改正基準による影響度調査
②業務プロセスの見直し
③ECLモデルの構築及び検証
④データ基盤の整備及びシステム対応
⑤開示
⑥内部統制及びガバナンス
これにより、ECLモデルの構築と検証だけでなく、ECLモデルの導入にあたって影響を受ける業務の範囲や影響の大きさを調査し、業務プロセスの見直し及びシステム更改を支援します。また、新たな開示事項への対応支援及び内部統制の構築支援まで、企業が改正基準に対応するために必要な実務対応を包括的に支援します。
リーダーのコメント
EY新日本有限責任監査法人 金融事業部 アソシエートパートナー 八ツ井 博樹のコメント:
EY新日本では、既に数多くの将来予測モデル構築の経験を有しており、大手銀行を中心として、デフォルト率(PD)及びデフォルト時損失率(LGD)などのパラメータ推計値を基本としたECLモデルを構築するための支援を行う他、その他の企業に対しても広く、現行の引当実務で用いられている貸倒実績率を活用したECLモデルへの対応も支援します。これにより、幅広い業種の多くの企業における改正基準への対応を支援することが可能となります。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 FSRMパートナー 鈴木 俊介のコメント:
改正基準では、新たにSICR判定、将来予測、実効金利計算などが要求されることから、個別の企業では統計モデルの導入、業務プロセスの改革、ITインフラの高度化などのニーズが高まっています。当社では、企業の新しい基準対応に必要なオペレーション、ITインフラ及び内部監査等の構築をしっかりサポートします。
本日発表のサービスについては下記をご覧ください。
金融商品会計基準の改正に関する影響度調査――影響の事前把握と対応までのロードマップ作成
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EY Japan、予想信用損失モデルへの移行を包括的に支援
EY Japan株式会社
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