大阪府枚方市は29日、市内の茄子作遺跡の発掘調査で、5世紀前半の初期須恵器の窯跡を3基発見したと発表した。市によると、倭王権直轄で初期須恵器を生産していたとされる堺市の陶邑窯跡群とほぼ同時期に使われ始めており「重要な成果」としている。
見つかった窯跡のうち1基は長さ約10メートル、幅約1・8メートルが残り、保存状態も良かった。周辺では失敗した須恵器を廃棄した場所も見つかった。
市によると、須恵器は5世紀初めごろに朝鮮半島から技術が伝わり国内での生産が始まった。灰色をした硬質の土器で、高温で焼かれて作られた。初期須恵器の窯跡は陶邑窯跡群など全国で十数カ所にとどまる。茄子作遺跡では過去の発掘で大量の初期須恵器が出土したが、窯跡の存在は分かっていなかった。
大阪大の中久保辰夫准教授(考古学)は「日本窯業の出現期の様相を呈し、渡来人の活動を示す実例だ。王権を支えた豪族が経営していた可能性もある」と話した。
市は11月8日午後1時半から3時まで現地説明会を開く。
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