2月、ブタ腎臓の移植手術を受けた米マサチューセッツ総合病院を出るティム・アンドリュースさん(左)(KATE・FLOCK/同病院提供)

 【ワシントン共同】米東部ボストンのマサチューセッツ総合病院で1月に男性(67)に移植したブタの腎臓に機能低下がみられたため、摘出手術を実施したと、病院側が10月27日、明らかにした。声明で、ブタの腎臓と共に271日間生存できたのは「世界記録」だと指摘。「世界中の腎不全患者の励みになった」と男性をたたえた。男性は透析治療に戻り、臓器提供者が現れるのを待つ。

 末期腎不全の患者は米国で80万人以上、世界中で数百万人とされるが、臓器提供者は圧倒的に足りない。代わりに、臓器のサイズや生理学的特徴が人に似ているブタに遺伝子操作を施し、拒絶反応を起こりにくくして利用する「異種移植」の試みが進んでいる。