県は2026年度以降の新たな環境総合計画(仮称)を策定している。環境関係の計画を一本化し、脱炭素と資源循環、生態系の保全など自然再興の取り組みを強化する。

 深刻化する気候変動などに対し、長期的な視点に立った対策は不可欠である。将来世代への負荷を少しでも軽減するため、現状の課題をしっかり捉え、明確な目標を掲げて計画を立案し、施策を展開してほしい。

 県はこれまで、環境基本計画と気候変動対策推進計画、資源循環推進計画の3本柱で環境政策を進めてきた。いずれも関連性がある計画だけに、一本化は自然な流れだろう。総合的に取り組むことで相乗効果を図りたい。

 国は温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル(CN)の50年の実現を目指している。また資源として廃棄物などを最大限活用し、新たな成長につなげる経済社会システムへの転換が求められている。さらに地球上の種の絶滅が加速度的に進んでいる。いずれの分野も対策は急務だ。

 計画の骨子案では、CNや循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行、自然再興(ネイチャーポジティブ)の推進を基本目標に掲げる。CNへの対応として県は30年度までに13年度比で温室効果ガス排出量を50%削減し973万トンとする目標を掲げている。だが22年度の実績は1553万トン、13年度比20・2%減にとどまっており、施策の加速が求められている。

 計画には再生可能エネルギーの導入拡大などを盛り込むが、産業界はもとより家庭での一層の促進も欠かせない。企業などは自家消費型の太陽光発電や省エネ設備の導入、家庭でも省エネ電化製品や太陽光などを取り入れ、排出量削減に寄与したい。

 廃棄物の排出抑制などには一定の成果が出ているが、循環型社会の構築にはさらなる取り組みの強化が必要だろう。再生材製品のさらなる活用や資源循環に向けた処理体制の確保などを進めなければならない。自然再興については、生態系保全に向けた具体的な対策を提示してほしい。

 計画は10年後を見据え、30年までの5カ年を期間とする。今後、数値目標や具体的な施策が示される予定だが、野心的な数値目標を掲げ、達成に向けた明確な道筋が示されることを期待したい。