世界気象機関(WMO)=2024年1月、スイス・ジュネーブ

 【ジュネーブ共同】世界気象機関(WMO)は15日、主な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)とメタン、一酸化二窒素の大気中の濃度が2024年に最高記録を更新したと発表した。化石燃料の消費に加え、北南米の大規模な山火事による排出量増や森林と海洋の吸収量の減少も影響した。温室効果ガスの増加が気候変動の悪循環を招いていると警鐘を鳴らした。

 WMOによると、CO2の濃度は単年で1957年以来最大の上昇幅を示した。ボリビアではほぼ年中、山火事が発生。カナダでも山火事による排出量は2003年以降で23年に次ぐ規模だった。

 排出されるCO2の半分は大気中に残り、残りは陸や海に吸収されるが、気温上昇や干ばつなどで海や陸の吸収量は減少する。農業や製造業など人間の生産活動由来のメタンや一酸化二窒素も濃度が記録的な水準に上昇している。

 バレット副事務局長は、蓄積された温室効果ガスが多数の異常気象を起こしているとして「排出削減は気候問題のためだけでなく、経済安全保障や地域社会の良い暮らしのためにも不可欠だ」と訴えた。