榊原正道被告(中央)=昨年1月

 愛媛県今治市で2024年1月、ピアノ教師冨田小雪さん=当時(64)=を殺害し、冨田さんの次女(37)を車内に監禁したなどとして殺人や監禁などの罪に問われた無職榊原正道被告(35)は15日、松山地裁(渡辺一昭裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で、冨田さんへの殺意を否認した。次女の監禁罪も成立を否定した。

 検察側は冒頭陳述で、被告は次女との交際関係のもつれから次女や母の冨田さんに怒りを募らせ、包丁2本など凶器を事前に準備し冨田さん宅を訪れたと指摘。「帰宅した冨田さんの首を絞め、殺意をもって首を複数回切り付けた」と述べた。

 また次女を乗せた車は中からドアを開けられないようロックをかけ、窓をシートで覆い外から後部座席が一切見えない状態にし、無理やり連れ回したと説明した。

 弁護側は、包丁は次女の家族を怖がらせるために用意し、突き付けただけだなどと主張した。

 起訴状などによると、24年1月26日午後2時20分~午後5時10分ごろ、市内の冨田さん宅に侵入し、首を包丁で複数回切り付け失血死させた。