「58年を返せ!死刑の恐怖を償え!」。死刑判決後に再審無罪となった袴田巌さん(89)の弁護団は9日、こう記した横断幕を手に静岡地裁へ向かった。この日は1966年の事件発生から58年を経て再審無罪が確定し、ちょうど1年。国と県に約6億円の損害賠償を求める訴状を提出後、小川秀世弁護団長は地裁近くで記者会見し「袴田さんは今も普通の生活に戻れない。責任を取ってもらう」と声を荒らげた。
袴田さんは2014年に釈放されて以降、地元の浜松市で姉ひで子さん(92)と暮らす。拘置所で患った拘禁症状のため、現実離れしたことを口にするなど、意思疎通が難しい状態が続く。9日には支援者が近況を伝える映像を公開。支えられながらゆっくり、小刻みに歩く姿が見られた。
これとは別の動画でひで子さんは「巌は自分が死刑囚ではなくなったってことを認識している。裁判に勝ったってことも認識しております」と、この1年の前向きな変化を口にした。
弁護団は訴状で、長く冤罪を見抜けなかった裁判所の責任も指摘した。
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