海外での安楽死を検討する目的で診断書を出すよう求められても、断るのはやむを得ない―。東京地裁は2日、診断書提供を拒んだ病院側にがん患者が損害賠償などを求めた訴訟の判決で、請求を棄却した。国内では安楽死が制度として認められておらず、さまざまな議論があるなどとして、拒否には正当な理由があると判断した。
判決によると、患者は乳がんが疑われ2020年8月に国立がん研究センター(東京)の病院を受診し、同10月に手術。痛みや精神的な苦痛から、安楽死を扱う海外の機関に意見を求めようと21年12月、病院側に英文の診断書発行を要望したが、病院側は断った。
中野琢郎裁判長は、国内で安楽死は制度として認められず、適否や要件を巡り議論の一致はみられないとして、提供拒否はやむを得ないとした。希望通りに診断書を出すことで「刑事事件になる可能性がないとは言えない」とも指摘した。
患者側は、医療契約を結んだのに病院側が診断書の提供を拒否したことで精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求したほか、診断書の発行も求めていた。
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