俳優の木村達成が、10月上演の舞台「狂人なおもて往生をとぐ」で主演する。蜷川幸雄とのコンビで知られた劇作家の清水邦夫による、詩的で情熱的な言葉が魅力の戯曲。木村は「俳優として成長するために絶対にやるべき作品だと感じた。壁は高いけど、全力で挑みます」と決意を語る。
ある娼家の女主人「はな」とヒモの「出」が、客たちと始めた奇妙な家族ごっこ。その裏に隠された事情が明らかになるにつれて“一家”の狂気が表面化する。出を演じる木村は「登場人物全員がどこか欠けていて、間違っている。完璧ではない姿に魅力を感じる」と話す。
自身も「完璧な人間ではない」と言い切る。「僕だけでなく、みんな不完全なはず。なのに、それを隠して完璧で理性的なふりをするから、みんなが生きづらくなっている」。出という役を「共感はされなくとも愛される存在にしたい」という。
稽古では演出の稲葉賀恵と話し合い、戯曲の言葉をかみ砕いて自分のものにしようと努めている。「狂っているからといって、言葉に意味がないわけではない。観客がはっとするようなせりふを届けられたらいい」
ミュージカル「テニスの王子様」、「四月は君の嘘」などで注目を集め、近年は映像作品にも活躍の場を広げる。今回は約1年ぶりの舞台。「途中でカットがかからない、演劇の怖さと面白さを再確認しています」
舞台「狂人なおもて往生をとぐ」は10月11~18日東京・IMM THEATERで上演