前線の取材活動の様子を語るウクライナ・ジャーナリスト同盟のセルギー・トミレンコ会長=10日

 ウクライナの記者らが組織する「ジャーナリスト同盟」のセルギー・トミレンコ会長がこのほど東京都内でインタビューに応じ「新聞はロシアの偽情報に対抗する手段で、住民の希望の源」になっていると訴えた。インターネットや印刷設備、編集室が破壊されても戦況を正確に伝えるため、前線での取材活動や新聞発行を支援する仕組みを構築した。

 同団体は2022年のロシアによる侵攻開始後、国連教育科学文化機関(ユネスコ)などに支援を募り、国内のメディア約30社を援助。郵便にも頼れない東部ドネツク州や南部ヘルソン州などの前線近くで、戦況を取材してウクライナ語の新聞を発行。有志が手渡しで住民に配布している。

 取材は常に危険と隣り合わせになっている。2月には取材中に行方不明になった女性記者の遺体がロシアから返還された。主要メディア「ウクラインスカ・プラウダ」などに寄稿するフリージャーナリストだった。トミレンコ氏の同僚ら25人以上の記者は今も拘束されたままで、消息が分からない人もいる。(共同)