今年も8月27日から3日間、宇都宮市のサンヒルズCCで行われたゴルフの全国高校選手権を取材した。「緑の甲子園」の愛称で呼ばれる大会だ。今年は全国の予選を勝ち抜いた男子36校、女子35校が団体戦で争い、男子は埼玉栄、女子はECC学園(滋賀)が日本一となった。本県からは男子の佐野日大が6位に入った。

代表選手のボールを追う佐野日大ゴルフ部員
代表選手のボールを追う佐野日大ゴルフ部員

 取材しての感想は、ひと言。「うま過ぎる」。男子はウエストコースを使用し6891ヤード。女子はイーストコースで6241ヤード。決して短いわけでもなく、グリーンも難しい。ところが、60台の選手が次々現れる。埼玉栄の優勝スコアは3人で200ストローク。単純に割ると66・66になる。まだ高校生なのに、だ!

 福井工大付2年の松山茉生(まつやままお)も昨年に続いて出場した。昨年の日本アマで大会史上最年少となる15歳と344日で優勝を果たした逸材だ。決勝のスコアは振るわず71ながら、アウトは32だった。

注目を集めた松山茉生(福井工大付)
注目を集めた松山茉生(福井工大付)

 インコース10番、380ヤードの打ち下ろしのパー4は、ほとんどのゴルファーがアイアンで刻む。左のOBゾーンに吸い込まれることが多いためだ。しかし2組に1人が、ドライバーを手にする。届かないが、ナイスショットならグリーン近くまで転がるので、前組がグリーンを空けるまで待つのだ。

 「これって、信じられますか?」。多くのおじさんゴルファーに向かって、大声で叫びたい気持ちだ。

 ゴルフ歴47年のタカ坊。シングルまではたどり着いたが年々、距離は落ちる一方だ。150ヤード、8番アイアンを手にしていた時代もあった。しかし古希を迎えた現在は6番アイアンどころか、U5(ユーティリティー5番)も選択肢の中にある。高校生を目の当たりにすると実に寂しい限りだ。

佐野日大の佐藤ミラー
佐野日大の佐藤ミラー

 1980年にスタートした「緑の甲子園」。年々盛況で、これまで倉本昌弘(くらもとまさひろ)、深堀圭一郎(ふかぼりけいいちろう)、丸山茂樹(まるやましげき)、福嶋晃子(ふくしまあきこ)、宮里藍(みやざとあい)、菊地絵理香(きくちえりか)などのスターを生んでいる。

 ジュニアプレーヤーのはしりだったあるプロは「高校生時代、コースに行くと『高校生でゴルフは生意気』と言われた」と振り返る。

 ゴルフはスポーツではなくレジャー、社交と言われることがあるが、立派なスポーツだ。「心の格闘技」とも評されることもある。例えば、1メートルの下りライン。強く打てれば立派なものだ。

佐野日大の河内喜文ゴルフ部長(右)から激励される選手たち
佐野日大の河内喜文ゴルフ部長(右)から激励される選手たち

 時代は大きく変わって、中学、高校にもゴルフ部ができ、国民スポーツ大会(旧国民体育大会)の正式種目で、オリンピック種目になっている。ジュニアの大会が増えたといっても、野球、サッカー、バスケットボールなど他の球技に比べると競技者の底辺はまだまだ広がっているとは言い難い。多くのジュニアよ。この「心の格闘技」に挑戦してみてはどうだろう。