提訴後、記者会見する原告女性(前列右)ら=10日午後、大阪市北区

 来日中に救急搬送され脳腫瘍と診断された後、帰国後に死亡した中国籍女性の医療費として、国立循環器病研究センター(国循、大阪府吹田市)が無保険の日本人の3倍に当たる医療費を請求したのは違法だとして、女性の娘が差額分約450万円の支払い義務を負わないことの確認を求めて10日、大阪地裁に提訴した。

 訴状によると、女性は2019年に短期滞在目的で来日。新型コロナ禍で帰国が困難となり、国の特別措置で在留資格を取得したが健康保険に加入できなかった。22年1月、運動障害が出たため、国循に搬送され脳腫瘍の疑いと診断された。

 健康保険に無加入の外国人は自由診療となり、医療費は病院側の裁量で決められる。国循は女性の退院後、自由診療の日本人の3倍に当たる約675万円を請求。女性側は減額を要望したが、国循は「自由診療の外国人は一律300%負担としている」として応じなかった。女性は帰国後の23年に死亡。娘は日本人と同額の約225万円を支払った。

 国循は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としている。