「船の体育館」の愛称で親しまれてきた旧香川県立体育館=高松市

 建築家故丹下健三氏が設計し、曲線を描く特徴的な外観から「船の体育館」の愛称で親しまれてきた旧香川県立体育館(高松市)。県は地震による倒壊の危険性を理由に解体を決めたが、建築家らの団体が世界的に価値のある建物だとして利活用を求めており、存廃を巡り議論が起きている。

 旧県立体育館は1964年に完成。橋の技術を応用した当時最先端の「つり屋根構造」で、柱のない大空間を実現した。

 屋根落下の危険性が判明し、2014年に閉館。県は利活用を模索したが多額の耐震費に見合う方策がなく、23年に「苦渋の決断」として解体を決めた。

 一方、解体費が約10億円に上ることが明らかになり、手続きが進む中で保存を求める声が上がった。建築家らでつくる「旧香川県立体育館再生委員会」は今年7月下旬、耐震補強した上でホテルなどとして活用する案を県に提示。費用約30億~60億円は全額民間資金で賄える見通しだという。