東日本大震災の津波で自然環境が大きく変化した宮城県南三陸町の志津川湾から世界的に希少な小魚「クダリボウズギス」が見つかった。その後の研究によって干潟の空洞で子育てをすることなど、謎に包まれた生態が徐々に明らかになった。町で海洋生物を研究する発見者の鈴木将太さんは「復旧工事でも生態系が守られた場所に生息したのではないか」としている。
テンジクダイ科のクダリボウズギス(約5センチ)はうろこがなく、透き通ったルビー色の体と大きなヒレが特徴。夜行性で地中深くに潜っているため、ほとんど採取例がない。南三陸町では2007年に1匹だけ見つかった記録があるが、標本は震災の津波で流失した。
22年6月、調査中の鈴木さんが干潟の土を40センチほど掘り返すと、赤い魚が顔を出した。「幻」とされるクダリボウズギスと判明。同じ干潟から100匹以上が見つかった。
南三陸町や京都大、町のサスティナビリティセンターが研究した13匹のうち雄4匹は、口の中で卵を守っていた。干潟のエビなど甲殻類の巣穴を使って子育てをする可能性があることも新たに分かった。
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