雨のように焼夷弾が降り注ぎ、炎にのまれた街を必死で逃げた。1945年3月の神戸大空襲。その体験を約20年前に画文集にした仏画家豊田和子さん(96)の原画展が、終戦80年の節目に合わせ、14日から神戸市で開かれる。今も鮮明に残る記憶を、豊田さんが絵をたどりながら証言した。
神戸有数の歓楽街「新開地」に近い商店街で生まれ育った。紙屋、畳屋、漬物屋。いろんな店が並び、活気にあふれていた。通りで遊んだり、映画館などに行ったりするのが楽しかった。
16歳だった45年3月17日未明、空襲警報が鳴った。焼夷弾が次々投下され、外へ走った。逃げ惑う人であふれる中、広さ一畳ほどの防火水槽に逃げ込み、家族とぎゅうぎゅう詰めになった。
B29の爆音や火が燃えさかる音、叫び声。それらを耳にしながら、豊田さんは意識を失った。目覚めて外を見ると、夜明けの焼け野原が広がっていた。
温かみがあった人々や街を柔らかな色使いで、それを奪った炎を対比するような濃い赤で描いた。会場は神戸市中央区の「こうべまちづくり会館」。19日まで。
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