ゲームをすることによって日常生活に支障をきたしている状態を「ゲーム依存症」と言う。世界保健機関(WHO)は「ゲーム障害」として、アルコールや薬物、ギャンブルと並ぶ依存症の一つに認定している。しかしゲーム依存症は他の依存症に比べて、本県では詳しい実態がよく分かっていなかった。
県が先月初めて公表した「インターネットおよびゲームに関連する依存に係る調査」で、県内の子どもたちにも想像以上にゲーム依存が進んでいる現状が明らかになった。自分の意思ではやめられなくなるのが依存症の特徴である。まずは周囲の気づきが大切だ。
調査は昨年3月に策定した「県依存症対策推進計画」に基づき、予防教育や適切な支援を行うための基礎資料を作成するために実施した。対象は小学4年~高校3年までの児童生徒で、1万3千を超える有効回答を得た。
WHOの調査項目に準じて回答を点数化した結果、ゲーム依存の疑いがあると判定されたのは小学生9・1%、中学生14・8%、高校生17・3%だった。年齢を追うごとに深刻さを増しているのが見て取れる。
平日に2時間以上ゲームをしているのは全体の46・9%に上った。このうち6時間以上は8・3%。「ゲームのために学業や仕事のパフォーマンスが低下した」と20・8%が回答している。
もはや「ゲームにはまっている」という段階を超えて、治療が必要な子どもたちが少なくないことが分かる。周囲の大人たちは、一刻も早く気付いてほしい。
ゲーム・ネット依存症の診療をする機会のある県内の医療機関に、ゲーム時間が長くなる背景にある問題を尋ねたところ、「人間関係のストレス」と並んで「発達障害・うつ病などの精神障害の合併」が35%で、最も多かった。特に後者はこれまであまり知られていなかった問題であり、深く掘り下げて研究する必要がある。
インターネットに接続されたオンラインゲームが一般的となった。一緒にプレイする仲間や対戦相手がおり、競争があおられ、依存性がますます高まるようにもなった。依存症が疑われる場合は、早めに医療機関を受診するようにしたい。県もあらゆる機会を捉えて広報に努めてほしい。