「バンカーがなければ」という話をしたが、今回はカップについて触れてみたい。
「カップがもう少し大きければ」と願うプレーヤーも多くいるのではないか。タカ坊もパターイップスに悩まされて十数年。下りの短いパットは手が動かないことがしばしばだ。傾斜のきつい下りパットでは2度打ちも珍しいことではない。「(直径が)あと5センチ広ければ、イップスは治る」と、一回り大きなカップを切望する日々だ。
カップの直径は4・25インチ(108ミリ)と決まっている。一升瓶がゴルフカップに「入るか?」という問題がよく出されるが、底部直径は約105ミリだから、正解は「入る」だ。意外と思われる方も多いのではないか。
この大きさを決めたのはゴルフの聖地、セントアンドリュースのグリーンキーパーだったトム・モリス・シニア。全英オープン優勝4度の名ゴルファーだ。セントアンドリュース市の水道管を適当な長さに切って地面に埋め、カップとした。これが定着し、1891年にはR&Aがカップの大きさとして定めたのだ。

ところで、最近は「でかカップゴルフ」というコンペがある。私も以前、体験したことがある。とにかく大きい。直径約381ミリ。通常のカップの約4倍、車のハンドルくらいの大きさだ。さすがに2~3メートルは難なく入る。アプローチもチップインの可能性が高くなる。3パットしてしまう可能性はかなり低くなる。これはゴルフが簡単になると思いきや、実際にはしっかりしたコースマネジメントを備えていなければ好スコアにはつながらないことに気付く。
グリーン周辺まで行けばチップインの可能性は高くなるし、パットで“往復ビンタ”ということは少なくなる。ところが、だ。そこまでに何打もかかっていては結局、いいスコアは出ない。OBを出したり、バンカーでホームランを打ったりとなると、いくらカップが大きくてもいいスコアにはならない。
従って、「でかカップ」でいいスコアを出そうと思うと、いかに少ない打数でグリーン周りまで行くかということが重要になってくる。
これは普段のラウンドでも役立つマネジメントだ。カップが大きくなることによって目標が明確になり、そこまでの過程をイメージしやすくなるわけだ。そして1打1打をどう打つかということを考えるようになり、自然とコースマネジメントの考え方が身に付くような気がする。
機会があれば、皆さんにも一度体験していただきたい。体験を通じて“ゴルフ脳”を鍛え、ベストスコアを目指してほしい。