ジャズピアニストの山下洋輔と和太鼓奏者の林英哲が15日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)でデュオ公演「乾坤一擲」を開く。ジャンルを超えて40年来、共演を重ねてきた盟友だ。セッションは即興がメインで「常に新しい」と山下。2人は「(音で)会話が成り立って、それで高まる。いつ会ってもうれしい」と口をそろえる。

 初共演は1985年。林は太鼓集団から離れ、独奏の可能性を模索していた時期で、ジャズセッションは初めてだった。

 「山下さんは『英哲さん、好きにやってください』と、面白がる天才。僕がタイミングをうまく合わせられなかった時も『間違いじゃない。今日はそうやりたかったと思えばいい』って。そんな考え方があるのかと、大いに影響を受けました」と林。以前から林に注目していたという山下は「案の定バシバシと打ちかましてくれたのでうれしくて、いくらでも弾けました」と振り返る。

 以来、国内はもとより欧州やアジア、アフリカでツアーに臨み、共演回数は100回近く。「英哲さんのたたく姿がきれいで、(演奏しながら)見て楽しんでいる」と山下が言えば、「演奏では大暴れされても、普段は紳士的。そのバランスもかっこいい」と林も応じる。

 ことし山下は83歳、林は73歳に。公演は「元気に現役を続けてこられたことへのお祝い」の思いも込め、初期の頃から演奏しているラベルの「ボレロ」や林の「大団円」などを予定する。

 林は4種類の太鼓を組んだセットに大太鼓、銅鑼などを持ち込む計画。山下は「たたき合ったら太鼓にかなわないと分かっていても、英哲さんとやるたびに挑みたくなるんです。ふふっ」と目を細めた。(共同通信=須賀綾子)

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