「大島紬 挑戦の軌跡」展で紹介される「龍郷柄」(上中央)や白地の「秋名バラ柄」(右、上から2番目)の反物(提供写真)

 大島紬を織る織子の伊藤昌代さん。普段も週2回実演している=東京・銀座(提供写真)

 ロレンツォ・フェルナンデス「孤独への恐れ/ミノタウロス」(120×120cm)(提供写真)

 大巻伸嗣さんが制作した半透明のつぼ「Gravity and Grace」の一つ(提供写真)

 スイーツブランド「ブランカ」の期間限定ショップで提供されるクレープ(提供写真)

 「大島紬 挑戦の軌跡」展で紹介される「龍郷柄」(上中央)や白地の「秋名バラ柄」(右、上から2番目)の反物(提供写真)  大島紬を織る織子の伊藤昌代さん。普段も週2回実演している=東京・銀座(提供写真)  ロレンツォ・フェルナンデス「孤独への恐れ/ミノタウロス」(120×120cm)(提供写真)  大巻伸嗣さんが制作した半透明のつぼ「Gravity and Grace」の一つ(提供写真)  スイーツブランド「ブランカ」の期間限定ショップで提供されるクレープ(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【18日(金)】

 ▽「大島紬 挑戦の軌跡―発展と進化の歴史、未来への系譜―」(~20日、中央区、入場無料)

 1300年もの歴史を持つ伝統の織物「大島紬」を紹介する展覧会が、着物の「銀座もとじ」で行われる。奄美大島(鹿児島県)を中心に作られた約300点を展示。フランスの「ゴブラン織り」、イランの「ペルシャじゅうたん」と並び、世界三大織物とも呼ばれる絹織物の魅力を多角的に伝える。

 社長の泉二啓太さんは「反物を作り上げるまでに30以上の工程を経て、半年から1年を要する。芸術性の高い図柄の数々、光沢と心地よい手触り、現代社会にもマッチする機能性を知ってもらいたい」と開催の意図を説明する。

 よく知られるのは「龍郷柄」。江戸末期に、龍郷の地に育つソテツの葉に金色のハブが乗り移る瞬間を図案化したといわれる。「サンバラ」という竹ざるをモチーフに、同地の秋名地区で生まれた「秋名バラ柄」も紹介する。

 龍郷町は啓太さんの父で創業者の弘明さんの故郷。「大島紬には、厳しい統制の中でも受け継がれてきた、島民の技と工夫が息づいている」と啓太さん。薩摩藩から着用禁止令が出され、着物を役人に見つからないよう田んぼに隠したところ黒く染まり、大島紬の要となる「泥染め」が生まれたという。

 完成までに2回、織りの工程が入るのも特徴。1回目は締機(しめばた)といい、通常は手でかすり糸を作る工程を、織り機を使って行う。締機を使うことで、手作業では実現できないほどの経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の緻密なかすり表現を可能にする。

 会場では、2回目の機織りを織子が実演。針と指先で糸を一本一本調整し、経と緯のかすりを正確に合わせる“超絶技巧”を披露する。

 近年は現代的な感覚を取り入れた作品も多く手がけている。「しかし大島紬の技術継承は厳しい状況だ。工程がたった一つ抜けただけでも成り立たない。職人の貴重な技を未来につなげることの大切さを、銀座の地から広く伝えていければ」

 ○そのほかのお薦めイベント

 【12日(土)】

 ▽「ロレンツォ・フェルナンデス展」(~20日、中央区・ギャルリーためなが、入場無料)

 身の回りのモチーフを超写実主義の技法で描きながら、現代社会の姿を追求するスペインのアーティスト、ロレンツォ・フェルナンデスさんの展覧会が、銀座で開催されている。

 14歳から祖国伝統のバロック絵画を学んだ後、写真と見間違うほどリアルな絵の制作を開始。世界中で高い評価を受けている。

 新作40点はギリシャ神話などから発想した。「人間の葛藤や欲望、闘争や変革は時代を超え存在する。現代人が直面する課題に最も迫ることができると思った」

 「孤独への恐れ/ミノタウロス」は、牛の仮面をかぶったゴリラの玩具をミノタウロス(牛頭人身の怪物)、後方の女性を美の女神ビーナスに見立て、神話の世界を表現。「貝殻を迷宮の象徴とし、コミュニケーションの断絶と人の深い孤独を描いた。毛糸玉は、それでも救いと希望につながる手段(糸)があると伝えている」とフェルナンデスさん。

 徹底した写実表現の中にも、焦点のぼかしや複数の視点を組み合わせた構図を取り入れ、独特の世界観をつくり出している。

 折り鶴と貝殻とロボットの頭部を描いた「アートピア」は、全知全能の神ゼウスの物語を基に、人工知能(AI)が人間の創造性に脅威となり得る世界を示唆した。

 「アーティストやクリエーターなど、繊細さや心のゆらぎの表現が必要な仕事は、まだAIにできると思わない。しかしテクノロジーが制御不能なほど発展したとき、アートの創造者は人間ではないかもしれない」と予言した。

 ▽「サクラ シーン バイ シンジ オオマキ」(~23日、中央区)

 空間を生かしたダイナミックな作品で知られる現代美術家・大巻伸嗣さんの大型インスタレーションが、ZARA(ザラ)銀座店のウインドーに設置されている。

 “存在するとはいかなることか”という問いを掲げ、展示空間を非日常の世界へと変容させてきた。作品「Gravity and Grace」は、動植物の文様や世界各地の文明、歴史を象徴する図像などを刻んだ二つの半透明のつぼ。店の入り口の左右に配置することで、始まりと終わりのゲートを創出し、新しいものと古いものが入り交じる世界を表現した。

 アートとファッションの融合を感じつつ、“未来へと解き放たれるもの”をつかむことができるだろう。

 【18日(金)】

 ▽「ブランカ 麻布台ヒルズ期間限定ショップ」(~6月30日、港区)

 スペイン料理の名店「アカ」のオーナーシェフ東鉄雄さんが手がけるスイーツブランド「ブランカ」の期間限定ショップが、麻布台ヒルズマーケットで展開される。

 “焦げを楽しむスイーツ”をコンセプトに、本場スペイン発祥のバスクチーズケーキやプリンなどを提供。あえて生地を焦がして国産クリームチーズを合わせたクレープ「ブランカクレープ」は注目だ。普段はセットでしか購入できないスイーツが1点から購入できるのも限定店舗ならでは。焦げと共に“コク、情熱”も感じられる。