県内市町をはじめ全国の自治体、民間団体が加盟する「全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム(PF)」が10月、発足した。那須町が共同代表と事務局を務める。人口減で地域の活力がそがれていく中、PFが官民連携の効果を十分に発揮し、活性化に寄与してほしい。
新型コロナウイルス禍でリモートワーク、普段と違う場所で仕事と休暇を組み合わせて過ごすワーケーションなどが注目されるようになった。2地域居住は満員電車の通勤からの解放、自然豊かな暮らしなどを具現化し、実践者の幸福感を上げる方策である。
PFには700余りの自治体が加盟し、県と県内全25市町も名を連ねる。那須町が共同代表と事務局になったのは、2地域居住を進めやすい別荘地であり、サテライトオフィス、コワーキングスペース(仕事の共有スペース)の整備に積極的に取り組んできた経緯などからだ。民間約300団体も加盟している。
東京一極集中の是正や地域への経済効果、新たな人材によるコミュニティーの再生などが期待でき、移住定住のステップともなり得る。空き家増加などの地域課題の改善も望める。
一方、移動、住まい確保などの負担は大きく、二の足を踏む人へのアプローチが必須である。自治体は、ふるさと納税などを入り口に魅力を発信し、興味を持ってもらうことから始めたい。創業、就農支援など促進策も重要だ。住宅のサブスクリプション(定額利用)導入などは一案ではないか。那須町では、革新技術の社会実装に取り組むナスコンバレー協議会の活動も訴求力を持つだろう。
PFは加盟者の情報共有、共通課題への対応などとともに、官民連携の機能を十分に発揮すべきだ。民間団体では、住宅関連企業、移動を担う航空会社、物やスキルなどを共有するシェアリングエコノミーの推進団体などが加わっている。発足時から引き合いは強く、加盟団体は急増しているという。民間の活力を生かさなくてはならない。
那須町内には、首都圏の大手企業に勤める傍ら、自ら農泊を運営する人もいるという。自治体の場所、資源などによって2地域居住推進の方策は異なり、PFには地域ごとの効果的な支援を求めたい。同町は県内を力強くけん引してほしい。