春を告げる野菜の代表格といえば、アスパラガスです。この時季は、特にみずみずしさや独特の甘み、香りが際立ち、ミネラルやビタミンなどの栄養素も豊富に含んでいます。

 本県を代表するアスパラガス産地である那須地域は、県内一の酪農地帯でもあり、栽培のための土づくりに欠かせない良質な堆肥(たいひ)を有効活用できることが、今日の発展につながった大きな要因とされています。

▽新規就農者が増加

 2000年に発足したJAなすのアスパラ部会の立ち上げメンバーの一人で、今年2月から部会長を務める植竹英夫(うえたけひでお)さん(55)=大田原市湯津上=は、「まだ歴史の浅い作物ですが、生産者数も栽培面積も着実に増えています」と胸を張ります。

 15年前の立ち上げ当初に約10人だった部会員は現在、約80人にまで拡大。アスパラガスの収益性の高さに加え、稲作と両立しやすいこと、栽培技術の向上により定植2年目から収穫が可能になったこと、県の補助事業の対象となったことなどから、新規就農が相次ぎ、作付面積も急増しました。

 「県の補助事業があった数年前には、一気に40人も増えました」と当時を振り返った植竹さん。県は本年度当初予算案で「園芸振興」を掲げ、新たな主力品目の一つとしてアスパラガスを指定しており「これを機会に地域の人たちに声をかけ、部会員を100人に増やしたいですね」と、同部会のさらなる躍進を期しています。

▽販売、指導専門部も

 同部会には、首都圏の各市場への出荷配分を決定する役割を担う「販売部」、生産者それぞれが選果した後、規格を統一するための目ぞろえ会を運営する「指導部」があります。そこに今年2月、新たな組織が加わりました。40歳以下の若手約20人で構成し、栽培技術の研究などで中心的役割を担う「青年部」です。

 青年部のメンバーは3月、JAなすのと並ぶ産地であるJAうつのみや管内で水を使ったエコ技術の「ウォーターカーテン」を視察しました。夜間のハウス内の温度低下を防ぐことができるため、この新技術の導入で「出荷のスタート時期を1カ月程度前倒しでき、より効率的な出荷が可能になる」との期待感があるそうです。

 「おいしくて品質の良いアスパラガスを、一人でも多くの方に味わっていただきたい。そのために今後、部会全体のレベルをさらに高める努力をしていきたいですね」。植竹部会長の言葉は、スタートの季節にふさわしい意欲にあふれていました。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • アスパラガスの歴史

    原産地は地中海東部とされ、古くからヨーロッパで伝統野菜として消費されてきた。日本には江戸時代に観賞用として伝えられた。国内での本格的な栽培は昭和40年代以降で、グリーンアスパラガスが主流だった。現在は、グリーンのほか、ホワイトやパープルなどの種類が販売されている。

  • おいしいアスパラガスの選び方と保存法

    全体の色が鮮やかな緑色で、茎の太さが一定で張りのある真っ直ぐなものを選ぶ。茎の切り口が丸くてみずみずしいものが新鮮。繊維が目立ち、変色しているものは避ける。保存する場合は、水分が蒸発しないようにラップなどに包み冷蔵庫で立て続ける。生では約3日しか保存できないが、ゆでれば約1カ月冷凍保存できる。

 

次代を担う/JAうつのみや/グリーンアスパラガス専門部/
坂本浩(さかもとひろし)さん(51)/
50歳の就農 地域に感謝

 50歳を契機に、30年以上勤務した製造関係の会社を退職し、アスパラガスづくりに取り組み始めました。農業公社が主催する新規就農者向けの体験学習に参加した後、土づくりから始め、8棟のハウスも自分一人で手作りしました。

 1年目は試行錯誤というか、無我夢中でやっていた感じです。ただ、就農する前から消防団を通してお付き合いがあった近所の農家やグリーンアスパラガス専門部の先輩たちから、さまざまなアドバイスを頂けたことが大きかったですね。地域の方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 今年2月に、どうにか初出荷にこぎつけた時は、言葉で表せないくらいの感動を覚えたし、農業の世界に一歩だけ足を踏み入れられたように感じました。

 会社員時代も「ものづくり」でしたが、農業はお客さんをより近く感じることができ、その感想を直接聞くことができることに強い魅力を感じています。生産者として、一日も早く10アール当たり収量で先輩たちのレベルに追い付けるよう頑張っていきたいですね。


ようこそJAへ/JAうつのみや/アグリスクールに参加を

 JAうつのみやでは、地域住民を対象にJAくらしの活動として「アグリスクール」を毎年開いています。本年度は(1)トマト定植・収穫体験(2)田植え・田んぼの生きもの調査・稲刈り体験(3)秋じゃがいも播種・収穫体験(4)梨摘果・収穫体験(5)さつまいも定植・収穫体験(6)ジュース用トマト定植・収穫体験&カゴメ工場見学(7)玉ねぎ収穫体験(8)さつまいも収穫・干しいも作り体験−の8活動から2活動セットでの参加者を募集しています。

 お申し込みは(1)第1~3参加希望の活動名(番号)(2)参加者全員の氏名、性別、年齢、学校名または職業(3)参加代表者の氏名、住所、電話番号(4)参加者にアレルギー等ある場合はその旨を明記のうえ、ハガキまたはファクスで。日程等の詳細はJAうつのみやホームページ(http://www.jau.or.jp)へ。

▼あて先 〒320−0031宇都宮市戸祭元町3−10 JAうつのみや総務課「アグリスクール」係ファクス028・627・3307。
お問い合わせは、028・625・3380へ。締め切りは4月20日必着。

[写真説明]出荷前、集出荷場の予冷庫に保管されているアスパラガス

[写真説明]「旬のアスパラガスは甘くてみずみずしいですよ」と話す植竹部会長

[写真説明]坂本浩さん