美味しい春菊が冬の食卓を飾る
美味しい春菊が冬の食卓を飾る

JAの育成支援を受け1年間研修

 これから寒さが本格化する季節、鍋やすき焼きに欠かせない野菜といえば、独特の香りとほろ苦さが特徴の春菊。県内で春菊栽培が盛んなのはJAしおのや管轄のさくら市や高根沢町ですが、今回紹介するのはJAしおのや春菊部会に所属する、就農2年目の福田聡さんです。

 祖父の代から兼業農家として水稲栽培をしていた福田さん宅では、春菊は福田さんが就農した一昨年から始めました。現在、20アールのほ場に、11棟のハウスを建て、春から夏にかけてはナスを、秋から冬にかけては春菊を、主に姉と2人で栽培しています。

福田 聡さん
福田 聡さん

 就農に際しては、JAしおのやの「新規就農者育成研修事業」※を利用。1年間の研修で基礎を学びつつ、休みの日には、現在も「師匠」と呼ぶ先輩農家のほ場に出向き、より専門的かつ経営に関することを教えてもらいました。

 新規就農というとイチゴなどが一般的ですが、初期投資を抑えつつ、初めから収量を見込める春菊とナスを選択。栽培体制やライフスタイルと合致していた点も大きな判断材料になりました。生産管理がしやすく、年末にかけて単価が大きく跳ね上がる春菊は、「その日の作業内容を自分で決め、いつまでにどれだけ収穫するか、戦略を考えながら栽培できるのが魅力」と語ります。

昨年の出荷には手応えを実感

 一方、春菊はそのほとんどが可食部分で、そもそも使える農薬が少ないため、農薬の扱いにはとても気をつかいます。また、泥やほこりが葉につくと評価が下がってしまうため、収穫・調整作業も一つひとつ手作業で丁寧に行います。本来冷涼な土地で栽培される春菊にとって、近年の猛暑の影響は非常に大きいそうで、播種や定植時期の遅れや、ヨトウムシの被害が今年も心配されました。

 福田さんが栽培した春菊は、全量がJAを通じて出荷されます。美味しい春菊は、色が若竹色で切り口がきれいなものだそうで、 おすすめの料理はサラダやおひたし、ゴマあえなども美味しいそうです。

春菊の生育を入念に確認
春菊の生育を入念に確認

 昨年は1日で最大42ケース出荷し、味も収量も手応えを感じることができました。 今年の生育も順調だそうです。福田さんが目指すのは、「いつでも手に取れるおいしい春菊」。将来の目標は、春菊で勝負できる農家になることです。

 お問い合わせはJAしおのや営農経済部☎028・681・7554。

※新規就農者育成研修事業とは、農業で自立を目指す農業後継者や新規就農希望者等を対象に、農業技術や経営手法等について学ぶことができる研修です。研修期間は4月1日から1年間。募集期間は9月1日から開始。お問い合わせはJAしおのや営農経済部・営農企画課028・681・7554、企画管理部・総務企画課028・681・7555。