▽心和ませる赤い果実

 ルビーのように輝くイチゴは、お年寄りから、子どもまで幅広く愛されています。「ハウス内に赤く色づくイチゴを見ると、誰でも気持ちが和み、喜んでくれるものです。それが一番作っていてうれしいね」とほほ笑むのは、さくら市鹿子畑(かのこはた)の吉澤一(よしざわはじめ)さん(63)。今年からJAしおのやのいちご部会の部会長を務め、氏家、高根沢、喜連川、矢板の4支部、総勢約110人の生産者とともに産地を支えています。

 JAしおのや管内の2011年産実績は約1180トンで、販売額は約10億2000万円。栽培されているのは100%とちおとめです。とちおとめは、品種登録から15年の歳月が過ぎ、生産者の間には「ポストとちおとめを」との声が高まっていました。吉澤さんは、10月にいちご部会のメンバー約40人とともに栃木市の「いちご研究所(栃木県農業試験場)」を訪れました。「偶然なのですが、最後まで残った三つの有望株と“対面”してきたばかり。その中の一つが、11月22日に発表された栃木i27号だったんです。ようやくデビューしたんですね」と感慨深げです。

 ▽つややかな円すい形

 新品種「栃木i27号」は、大粒で25グラム以上の果実の発生割合が6割以上。優れた外観もアピールポイントで、美しい円すい形に、色は濃い橙赤(とうせき)色でつややかです。いちご研究所・開発研究室長の植木正明(うえきまさあき)さん(48)は「甘味と酸味のバランスが良く、ジューシーでまろやか。収量も多く、イチゴ炭疽(たんそ)病や萎黄(いおう)病に対する耐病性も強いです」と太鼓判を押します。今後、県内5カ所の「実証栽培」などを経て2014年の11月ごろから、市場に登場する予定です。

 生まれたばかりの栃木i27号は、女峰、とちおとめに次ぐイチゴ王国の3代目“プリンセス”。そこで栃木県は現在、「みんなに愛され、親しまれる名前を」と願い、一般公募を受け付けています(28日まで)。県独自の農産物新品種で、名称を募集するのは1997年登録のお米「晴れすがた」以来で、イチゴでは初めてのことです。

 吉澤さんは「どんな名前がつくのか今から楽しみ。私たち生産者も、立派なブランドイチゴに育つよう頑張りたい」と目を細めます。

 JAしおのやのイチゴに関する問い合わせは、JAしおのや営農部園芸課電話028・681・7554。

 名称募集の問い合わせは栃木県農政部経営技術科「いちご名称募集係」電話028・623・2313。県のホームページ「トピックス」からも応募できます。

◇◆◇ 雑学辞典 栃木のイチゴ ◇◆◇

  • とちおとめ 1996年に品種登録。県以外でも、栃木県の許諾を受け生産されてきた。2004年産以降、国内の作付けシェア1位。大果で、糖酸のバランスと食味が極めて良好。

  • とちひめ 2001年に登録。果肉も濃い赤色でジューシー。イチゴ狩り専用の品種のため、観光農園などでしか味わえない。

  • とちひとみ 2007年に登録。国内産イチゴがほとんど出回らない夏から秋に収穫される品種。夏場のケーキ用いちごなど業務用に適している。

  • なつおとめ 2011年に登録。収量が多く、秀品率(正形果率)が高い。果実品質に優れ、食味・外観・輸送性ともに高水準。断面は淡赤色で、スライスした際の見栄えも良い。


 コラムオアシス 国論二分するTPP/絆紡いで日本文化を堅持

 私は、最近よく友人に聞かれます。「TPPはどうなりますか。どちらが日本の国益になるのでしょうか」。その原因は、政府の説明があまりにも不足しているからと思います。国論を二分するような、国の将来を決めてしまいかねない事柄に、無責任と言えるほどに突然持ち出した話に説明がなさすぎます。その中で特に目立つのは、マスコミの「早く乗らないと大変だ」「日本だけが取り残されてしまう」。このような論調の大合唱です。何か太平洋戦争前夜のようです。しかも政府は、国内ではあまり話さないのにアメリカに行って安うけあいの話をしてくる。沖縄対中国、たくさんの外交における失点を、目先を変えてカバーしようとしている。そこに3・11の悲しい災害です。地震と津波、東電の福島原発放射能被害、台風12、15号の集中豪雨、大変な1年でした。

 TPPはここにきて新しい情報が少しずつ出てきました。一番わかりやすいのは、ISD条項が盛り込まれていることです。これは日本の法律よりTPP条約が優先し、国内のあらゆる分野において進められていくということです。弱肉強食市場原理主義のアメリカの圧力に屈することなく、永い間培ってきた日本の文化を堅持し進めていくことに、消費者対生産者もなく、経団連対全中もないと考えます。絆を紡いで続けていくことが大事と考えます。一人は万人のために万人は一人のために。

(JAおやま代表理事専務印出井義雄)

読者の声 ~10月の紙面から~

・「JAまつり」…食べ物のおいしいこの時期に、遊びに行きたいです。紙面を見ているだけでも楽しそうですね。(39歳・女性)

・毎年行きますが、県内にはたくさんの「JAまつり」があるのでびっくりしました。時間があったら、別の所へも行ってみたいです。(51歳・女性)

・農産物だけでなく、イベントも盛りだくさんで楽しいです。(52歳・女性)

・県内10JAが掲載された紙面。なかなか良いです。(55歳・男性)

・いまTPPが話題になっていますが、日本の農業を守るため「絶対阻止しなければならない」と思っています。協定に参加してしまうような誤りを犯さないように、もっと記事を書いてほしいです。(55歳・女性)

 [写真説明]とちおとめの収穫に励む吉澤さん。「27号も早く作ってみたいです。県内すべてのイチゴ農家がそう思ってるんじゃないですか」と笑みをこぼす=さくら市鹿子畑

 [写真説明]大きく美しい円すい形が特徴の「栃木i27号」