レシピ開発おいしさ提案

 魅力ある産地づくりは、将来の農業を考える上でも重要な課題です。JAうつのみやの玉葱専門部(240人)は、今シーズンから管内で生産された玉ネギに「デリタマブラザーズ」(商標登録出願済)というニックネームをつけ積極的なPRを進めています。

 ■ 産地改革の集大成 ■

 宇都宮市、上三川町、旧南河内町の玉ネギ生産農家が作る玉ネギは、5月から7月までの間に、順に早生種、中生種、晩生種が出荷されます。同部会では、それぞれの品種を兄弟に見立て長女の「ミヤビッペ」、長男の「ミヤマロッペ」、二男の「アジタマッペ」と名付けました。全国から公募で集まった1207件の中から10件を絞り込み、直売所などで消費者に投票してもらい上位の作品を採用しました。

 ミヤビッペ(主に「早生7号」)は、辛みが少なくサラダにぴったり。ミヤマロッペ(甘70)は万能タイプ。アジタマッペ(もみじ3号)は、貯蔵性が高く加熱調理に向いておりカレーや煮物向け。今後は、地元レストランなどと連携し、品種に応じた「おいしい玉ネギレシピ」や、玉ネギドレッシングの開発なども進めていくそうです。

 部会長の鈴木恭一さん(49)=上三川町東蓼沼=は「3年前から県の新生産流通システムトライアル支援事業の補助を受け『産地改革プロジェクト』を進めてきました。愛称は、その集大成。おいしい玉ネギが地元でも生産されていることを知ってもらいたいですね」とアピール。

 ■ 10アールで約6トン収穫 ■

 JAうつのみや管内は、半世紀以上の歴史を持つ玉ネギの産地です。近年の年間生産量は約4000トンと県内生産量の約4分の1を占めています。同部会宇都宮支部長の丸島功夫さん(70)=宇都宮市鐺山=は、玉ネギ生産50年の大ベテラン。玉ネギの収穫は、想像以上に重労働で、10アールから約6トンも収穫されます。丸島さんは「確かにきついし、割には合わないが産地のためです。量では北海道にかなわないが、おいしさでは負けません」と太鼓判を押す。

 ■ 高校生が収穫体験 ■

 中生玉ネギの出荷に追われる今月2日、丸島さんのほ場に、“助っ人”が登場しました。「全国高校生対抗ごはんDE笑顔プロジェクト選手権」にエントリーしている県立宇都宮白楊高校食品科学科のメンバーです。リーダーの篠木桃子さんは、今回の収穫体験について「学校ではいつも調理実習室などで、食品開発の勉強をしているけど、その食材が農場でどんなふうに生産されているのか理解することも必要と考えました」。

 篠木さんらは掘り起こした玉ネギを1個1個手に取り、青い茎の部分を切り落としコンテナに詰め込む作業を約4時間にわたって続けました。コンテナは1箱で約20キロ、見た目以上に重たい玉ネギに「こんなに重いなんて思わなかった。農家の皆さんの苦労が分かりました」と、汗をぬぐっていました。

 おいしさが詰まったJAうつのみや産の玉ネギ“3兄弟”は、県内ではスーパーオータニ全店で扱っています。詳しくは、園芸指導課(東部選果場)電話028・667・0512。


 [写真説明]丸島さんのほ場で、玉ネギの収穫体験をする宇都宮白楊高校の生徒。生産農家の苦労の一端を味わった=宇都宮市鐺山

 [写真説明]JAうつのみやが商標登録した「デリタマブラザーズ」のキャラクター

 【安全安心の取り組み】JAうつのみや「玉葱専門部」は、エコファーマーの認定を目指している。また、定期的な残留農薬の検査や、ネット詰めの物にはトレーサビリティー番号を設けている。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ 玉ネギ編

 ユリ科の多年生作物。栽培上は一年生。原産地はおそらく西アジア周辺。日本への導入は明治以降。世界各地に広く栽培される重要な野菜。品種が多い。地下の鱗茎はよく発達して球形または扁球形で食用とする。(「広辞苑」より)

  • 涙 涙を流さず切るには、良く切れる包丁で、縦向きに繊維を破壊しないように切った方が刺激を受けにくい。また切る前に冷やしたり、水につけながら切る方法も効果がある。

  • 血液さらさら 多く含まれているアリシン(硫化アリル)は、血管にたまった脂汚れを浄化し血栓を予防してくれる作用がある。ただし、食べ過ぎは注意。

  • 給与代わり 古代エジプトではすでに栽培されていたらしく、ピラミッドを築く労働者には、玉ネギが給与代わりに配られていたという説もある。


 コラムオアシス 「基本計画」現場に目を向けた農政を

 昨今、世界的な食料事情は、構造的に逼迫していることや、100年に一度と言われる経済不況に加えて、行き過ぎた市場原理主義と規制緩和の拡大により、農業における生産額、所得は激減し経営は悪化をたどり現場は危機的状況にある。

 このような中、政府は「食料・農業・農村基本法」のもと10年後あるべき姿と、政策の方向付けを行うため、新たな基本計画の見直しを2010年3月に閣議決定するとしている。

 その中の一番の論点は、食料自給率問題である。わが国の自給率は40%まで低下しており、政府は緊急かつ重要課題として、50%まで高めることを掲げている。

 そもそも食料自給率の問題は、国民全体の共通認識で目標を掲げる話であり、国民運動として取り組むべきであり、JAや農業者サイドだけの問題ではないと考える。農林水産省のみならず総務省等が中心となり国家戦略「オールジャパン」として取り組まなければ実現は困難である。

 生産現場としては自給率向上以上に深刻なのが高齢化と担い手の減少である。「所得減少で後継者に給料が払えない」「作っても赤字では作れない」こうした農家が急増している現状である。このためには農業所得を向上させ、担い手を確保することが最重要課題であると思う。「サラリーマンの平均所得を上回る農業所得」の確保ができる政策が必要である。

 最後に、国はもっと現場に目を向け今回の見直し「基本計画」は農業を甦らせる最後の手段と位置付け、思い切った政策の転換を期待している。

(JAはが野代表理事専務 黒崎宣芳)

読者の声 ~4月号から~

【農家の皆さんご苦労さま】

・フキの栽培には、連作障害があり苦労していることが分かりました。農家の方に「ご苦労様」と申し上げたいです。「雑学辞典」毎回読んでおります。勉強になります。(77歳、女性)

【地元産作物に意識を持とう】

・この機に、「みんなのよい食プロジェクト」の活動を知ったので、更に自覚を持とうと思います。国産のものもですが、一番は地元のものをもっともっと一人一人が意識を高められると農業も発展。(44歳、女性)

【苦手だったフキに挑戦】

・食べず嫌いで、フキは調理方法もわからず苦手だったのですが、「お役立ちレシピ」を読みながらチャレンジしてみました。香りがよくおいしかったです。(33歳、女性)