糖度7超えるブランドも

 真っ赤に熟したトマト−。サラダやイタリア料理には欠かせない食卓を彩る野菜の1つです。最近はフルーツトマトなどと呼ばれる糖度の高いものをスーパーなどの店頭でよく見かけるようになりました。本県でも生産農家の努力により、甘くておいしいトマトが生産されるようになっています。「糖度7度以上保証します」と“太鼓判”を押され、黒塗りの箱に詰められた宇都宮産トマト。「Premium(プレミアム)7」もそんなトマトの1つ。市場関係者のみならず、イタリアンレストランなどからも高い評価を得ています。

 ■ 超“難関”わずか2% ■

 JAうつのみやは2004年4月、宇都宮市上籠谷町に東部選果場を完成させました。その選果場の糖度計で7度以上を記録したトマトを選別、差別化しブランド品として確立させました。園芸課の加藤一美課長は「安全安心な作物を提供するのはもちろんのことですが、『おいしいトマトを作りたい』その一心で生産農家は努力しています」。その強い思いが、プレミアム7に結実しています。JAうつのみやの生産農家は1年間に約5200トンのトマトを出荷していますが、その中でプレミアム7の“称号”が与えられるのはわずか2%程度。普通の大玉トマトは糖度5度から6度程度ですが、農家のたゆまぬ努力で糖度7を超える「まるでフルーツのようなトマト」が出来るのです。

 トマト生産一筋37年という宇都宮市桑島町の斎藤正夫さん(58)=JAうつのみや春トマト副専門部長=は「とにかく食味にこだわり春トマトに専念してきました。苦労はありますが、うまさ、糖度については誰にも負けない思い入れがあります」。強い自負の念が伝わってきます。甘く実の締まったトマトを育てるには給水、温度の加減がポイント。斎藤さんら生産農家は、まるでわが子を育てるかのように、日々生育具合の見極めに余念がありません。

 ■ 商品力アップに努力 ■

 県内のトマト生産農家は現在546戸。販売額は57億円で全国第4位の生産高を誇ります。日照時間が長く、大量消費地に近いため、真っ赤に完熟してからの出荷が可能であることなど、トマト栽培に優位な条件がそろっています。JAうつのみやに加えJAはが野でも糖度計を使い高糖度トマトを差別化、商品力アップに励んでいます。

 JA全農とちぎは糖度6を目標値に定め、おいしいトマトの生産を目指して各農家の指導に当たっています。またJA全農では、安心安全を主眼に第三者による検査・審査を各産地で行い認証するシステム「全農安心システム」を構築しました。県内ではJAかみつがのトマトが全国に先駆けて認証を取得、県内産トマトの質の高さを証明しました。

 5月から6月は春トマト出荷の最盛期です。あらためて県内産のおいしいトマトを味わってみてはいかがでしょう。

 [写真説明]「食味のよさにこだわりたい」という斎藤さん。5月、6月の出荷ピークを迎え春トマト農家は集果作業に追われる=宇都宮市桑島町


 コラムオアシス WTO農業交渉に思う

 あの厳寒も過ぎて春が訪れ、競って咲いた梅も桜も散り、今は山桜が淡い緑の中に目立っています。鶯の声も心地よく燕も古巣のに飛び交い雲雀のさえずりも聞かれる静かなわが山里。一転して国の内外情勢を見れば、まさに激動の中にあります。世界の各地で続発する戦乱、テロ、暴動、自然災害等に心が痛む毎日です。生命を奪われ、飢えと病に苦しむ多くの人々を思うと末法の世かと思い煩います。

 日本は戦後60年、困難を乗り越え、平和を守って経済大国となり、世界トップクラスの生活を享受しています。資源小国日本のこの繁栄は、国民の営々たる努力によると同時に、世界中から多くの資源、食料を輸入することによって実現しているのです。特に食料輸入は60%、自給率は先進国中で最低です。著しい人口増、農地森林破壊、海洋河川汚染、水不足、そして温暖化等によって、食糧危機はすでに起きています。飢餓の現実を厳しく受け止め、世界の各国が速やかに対応すべき最大の課題です。

 この時にWTO農業交渉が大詰めを迎えております。市場原理、自由競争を主張する食料輸出大国の強圧に屈しないよう、国の総力を挙げ、各国の多様な農業の共存のため最大の努力を続けることが最も大事です。一方、私たちは地産地消、安全安心の食料供給に最善を尽くし、環境保全、食料安全保障確立の国民合意形成に取り組む決意を新たにしています。

(JA栃木中央会長 豊田計)